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2023.11.14

米国で進む「食料不安」、母子家庭の3分の1が十分に食物を得られていない

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七面鳥の予約注文は、もう済んだだろうか。あるいは、特大マッシュルームでも、カリフラワーでも、骨つきハムの照り焼きでもとにかくお好みの感謝祭ディナーのメインディッシュの注文のことだ。もしまだなら、いまが最高のタイミングだ。特に、倫理的かつ持続可能な方法で育てられた食肉を考えているのなら。

感謝祭シーズンは、コミュニティとのつながりについて深く考えるのにも最適だ。米国農務省(USDA)は10月末、食料不安に関する年次報告書を発表したが、その内容は深刻なものだった。端的に言って、飢餓は悪化している。

2022年に食料不安を抱えた世帯(food insecure:経済的な理由で、1年のある時点で十分な食糧を得られなかったことがある世帯)は、全米で1700万世帯に上った。これは、全米における総世帯数の12.8%を占める数字だ。

2021年のこの率は10.2%、2020年には10.5%強だったので、かなり増加したことになる。

もう1つ、考えてほしい数字がある。シングルマザー世帯(母子家庭)の3分の1が、十分に食物を得られなかったという数字だ。

子ども(18歳未満)がいる世帯は17.3%と、前述した全世帯平均(12.8%)に比べて高い割合で食料不安を経験していた。さらに、その中でもシングルマザー世帯は、33.1%という非常に高い割合だった。

これらの割合も、2022年に悪化している。子どもがいる世帯のうち食料不安を経験した割合は2021年には12.5%だったが、2022年には17.3%となった。さらに母子家庭は、2021年には24.3%だったが、2022年には33.1%となった。

今年のホリデーシーズンには、地元のチャリティに七面鳥を寄付したり、困窮する一家の食事代を負担してみてはいかがだろうか。フードバンクやスープキッチン、シェルターでボランティア活動をするのもいい。コミュニティの共同農場を立ち上げて、収穫の一部を寄付するという手もある。

これらはみな小さな一歩だがともに手を取り、コミュニティから始めて、飢える人をなくしていこう。

「水の管理」と食に関する国連の取り組み

環境意識に基づいて商品を選択する消費者の増加が続くなか、2024年のフードトレンドの筆頭にあがりそうなテーマが「責任ある水の管理」だ。

10月16日は、国連食糧農業機関(FAO)の創設記念日であり、国連世界食料デーと呼ばれている。2023年の世界食料デーには「水は生命の源、水は食の源、誰1人取り残さない」をテーマに、生命を支える不可欠な要素である水、そして水と食料の複雑な関係に焦点が当てられた。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、同日のビデオメッセージのなかで「農業および食料生産のための水の持続可能な管理は、飢餓を撲滅し、持続可能な開発目標を達成し、将来世代のために水を守るために不可欠だ」と述べた。

また、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第28回締約国会議が迫るなか、80以上の組織からなる強力な組織連合が、UNFCCCに食料システムアプローチを組み込むことを求める緊急声明を発表している。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

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