AIが変えるマーケティングの4領域

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マーケティングの効果と効率を高めるには、人工知能(AI)をどう利用すればいいのだろうか? AIがマーケティングと広告に与えつつある影響について、デジタルマーケティング広告会社Starboard(スターボード)のライアン・コイン最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。

AIはマーケティングをどう変えているのか

消費者に対する理解。コインによれば、AIはいくつかのかたちでマーケティングを変えつつあるという。第一に、大量の消費者情報の統合と集約により、消費者に対する理解を深めるのに役立っている。

その一例として、ありとあらゆる製品の詳細に加え、製品についてこれまでに聞かれたすべての質問とそれに対する正しい答えを知っている販売員やカスタマーサポート担当者を想像してみてほしい。そして、そうした販売員やカスタマーサポート担当者が無数にいると想像してほしい。販売とカスタマーサポートにおける影響は、何百万もの仕事のAIへの置き換えとして現れるだけでなく、顧客のニーズにより近づくカスタムメイド体験も生み出すことになるだろう。

メッセージのカスタマイズ。コインはこうも述べている。「AIは、販売員が消費者のニーズと行動を理解するのを助けるだけでなく、そうした情報を使ってパーソナライズされた広告により、一人一人の消費者にターゲットを絞ることができる。ほとんどの消費者にとって、おすすめ製品を紹介するメールやメッセージ、ポップアップを受け取るのはありふれたことだが、AIは、特定の個人やグループに応じた広告の制作により、それを次なるレベルに引き上げ、製品やサービスが購入される確率を高めるだろう」

例えば、あなたがラブラドール犬を飼っていて、ペット用品店の顧客だとしよう。AIの新世界では、店側はテキストメッセージであなたに連絡をとり、あなたの愛犬の名前を出しつつパーソナライズされた会話を交わし――そうして、あなたの愛犬が特定の製品を必要としていることを思い出させたり、町内の他のラブラドール犬が同じ製品を与えられて喜んでいる話を伝えたりして、あなたをオンライン顧客に変えられるようになるだろう。

将来のトレンドの予測。AIは、消費者に関する情報の生成に加えて、将来のトレンドの特定や捕捉、予測もできるだろうとコインは言う。ソーシャルメディア・コンテンツの調査・分析により、AIは「消費者の好み、選択、ニーズや、そうした指標が将来的にどう変化するかを、これまでよりも正確に予測できる。そのため、将来の需要・供給を予測したり、製品改良や将来のキャンペーン戦略を練ったりする際に、AIマーケティングは人間のマーケティング担当者を支援できるだろう」

顧客体験の向上。コインは次のように述べている。「AI搭載のチャットボットは、自然言語処理を通じて、パーソナライズされた効率的なリアルタイムのカスタマーサポートを、年中無休で24時間提供できる。顧客の質問や要求を理解し、それに対応することが可能だ。自然言語処理モデルが進化するのに伴い、個々の顧客の意図を理解しやすくなり、AIチャットボットと人間を区別するのはほぼ不可能になるだろう」

forbes.com 原文

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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