リーダーシップ

2023.12.05 08:30

内向型管理者は「サーバントリーダー」に向くか? 静かな人ジル・チャンに聞いた

石井節子

『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(ジル・チャン著、神崎朗子訳、ダイヤモンド社刊)のプロモーションイメージより(写真=王 愷云)

本稿では、注目される新しいリーダーシップ・スキル「サーバントリーダーシップ」について、およびこれについての『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』著者ジル・チャン氏のコメントを紹介する。

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近年注目を浴びている新しいリーダーシップのあり方がある。「サーバントリーダーシップ」だ。

サーバント=使用人の言葉どおり、このリーダーシップの鍵となるのは「奉仕の心」。リーダーが縁の下の力持ちとなって部下を支え、部下に奉仕することで、組織を牽引し成功に導いていくというマネジメント哲学であり手法だ。

しかし、ここでいう「奉仕」とは、いたずらにゆるくやさしく部下を遇したり、いわんや部下の言いなりになったり、などということではない。組織の進むべき方向性や指標を提示した上で部下のサポートに徹する、ということである。

前述のとおり、「縁の下の力持ち」となって部下を支えるサーバントリーダーによるチームの構造は、すなわち文字通り「逆ピラミッド型」。リーダーが「一番下」でメンバーを支える。リーダーが一番上で円錐状に指示や指導をおろしていく伝統的なトップダウンの支配型リーダーシップとは、実に鮮やかに対照的である。
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NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会によると、このリーダーシップには10の属性があるという。それらはすなわち、1. 傾聴、2. 共感、3. 癒し、4. 気づき、5. 説得、6. 概念化、7. 先見力・予見力、8. 執事役、9. 人の成長に関わる、10. コミュニティ作り、である。

共感や傾聴を通じて部下を支えるのみならず、部下の能力を伸ばすような工夫も行うことで、結果的に組織は成功に導かれるという。

おもしろいのは、支配的リーダーに従うメンバー、サーバントリーダーに従うメンバーには、それぞれあるはっきりしたいくつかの傾向があるというのだ。先の日本サーバント・リーダシップ協会のHPから以下、再び引用して紹介するなら、

支配的リーダーに従うメンバーには、

1. 主に恐れや義務感で行動する、2. 主に言われてから行動する、3. 言われたとおりにしようとする、4. リーダーの機嫌を伺う、5. 役割や指示内容だけに集中する、6. リーダーに従っている感覚を持つ、7. リーダーをあまり信頼しない、8. 自己中心的な姿勢を身に付けやすい

転じて、サーバントリーダーに従うメンバーには、

1. 主にやりたい気持ちで行動する、2. 主に言われる前に行動する、3. 工夫できるところは工夫しようとする、4. やるべきことに集中する、5. リーダーの示すビジョンを意識する、6. リーダーと一緒に活動している感覚を持つ、7. リーダーを信頼する、8. 周囲に役立とうとする姿勢を身に付けやすい

という傾向があるという。
Tom Werner / Getty Images

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