アジア

2023.11.01 10:00

中国の一帯一路、返済困難国への救済融資が激増

遠藤宗生
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好ましくない融資条件

大規模インフラ・プロジェクトの資金繰りのために国が負債を抱えることは、世界的に見て珍しくない。しかし、中国が提供する開発支援融資の条件は、国際通貨基金(IMF)や世界銀行、パリクラブ加盟国など、その他の組織による融資と比べて好ましいものではない。具体的には、利率の高さや返済期間の短さがあげられるが、これらは、とりわけ発展途上国にとって困難を招く恐れがある。

中国の救済融資についても同様だ。キール世界経済研究所は、IMF救済融資の利率が通常2%であるのに対し、中国のそれは5%に達すると指摘する。

加えて、中国の流動性スワップ期限の先延ばしは何年も続く可能性があり、正式に公表されず、返済もされないまま、隠れた事実上の長期債務となりかねない。

ただし、中国がこうした融資枠を拡大しているのは、主に中所得国に対してだ。低所得国に対しては、過去に返済困難に陥った際に、債務再編や返済猶予を提案してきた。それでも専門家は、中国の融資条件は不透明であることが多く、2000年代初頭にパリクラブ諸国が本格的に取り組んだ債務免除のようなメカニズムが明記されていない、と批判する。

もう一つ問題視されているのは、中国が救済融資の返済手段として、インフラ・プロジェクトの株式譲渡を認めている点だ。これにより、一帯一路の参加国が中国への依存をさらに高めるおそれがあると指摘されている。なお、これまでのところ、中国がこの方法で得たアセットを、地政学的優位を固めるために利用した事例は知られていない。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

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