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2023.10.21 10:15

気球で宇宙遊覧、日本企業が実現へ 有人高高度気球で成層圏

リリースベース(松村)
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プレスリリースより

気球による宇宙遊覧飛行を目指す岩谷技研は、10月14日、北海道富良野町にて高高度ガス気球の有人試験飛行を行い、当初の予定どおり高度1万メートルを超える成層圏に到達した。

今回の試験飛行は、成層圏での与圧キャビンと生命維持装置の運用性の確認と、高度1万メートルへの到達が目的だった。気球は午前5時2分に南富良野町を離陸し、141分間の飛行を終えて約70キロメートル離れた本別町に無事着陸した。到達高度は1万669メートル。パイロットは岩谷技研研究開発部の及川明人氏。

これにより岩谷技研は、人を成層圏まで運ぶための有人気球の開発と製造を行い運用できること、減圧環境に耐える気密キャビンを開発し運用できること、与圧キャビン製造に必要な独立した生命維持装置を開発できることの3点において日本初の企業となった。また及川氏は、高高度ガス気球で成層圏に到達した最初の日本人となった。今回の飛行に使われた気球は、2人乗りの与圧キャビン「T-9 III」を搭載した高さ41メートルのもの。


次なる段階は、パイロット1人と乗客5人が乗れる大型の気密キャビンと数々の安全装置を備えた高さ77メートルの大型気球による宇宙遊覧飛行事業の開始だ。実際、岩谷技研は今年度中の遊覧飛行を予定していて、すでに第一期搭乗者5人の応募が締め切られている。2022年の有人飛行(高度30メートル、係留ケーブル付き)試験の開始からここまで、ほぼ計画どおりに開発が進んでいるので、予定どおりの実施が期待される。
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岩谷技研は、この高高度ガス気球による宇宙遊覧飛行を軸にさまざまな業種のパートナーと共創し日本の宇宙産業を開拓することで、誰でも自由に宇宙に行ける「宇宙の民主化」を理念に掲げている。それを象徴するように、同社は2人乗りの小型キャビン「T-10 Earther」を販売している。価格は1億円だが、これがあれば何度でもプライベートな宇宙遊覧が楽しめるということだ。
プレスリリース

文 = 金井哲夫

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