GM、車載ソフトをオープンソース化 「ソフトウエア定義車両」開発促進

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ここ数年、大手自動車メーカーの多くは、車載ソフトウエア開発の内製化を進めている。その1社である米ゼネラル・モーターズ(GM)は、「Ultifi」と呼ばれるソフトウエアプラットフォームを開発中だ。各メーカーが独自のプラットフォームを構築すると、サプライヤーやサードパーティの開発者は、個別のプラットフォームに対応するアプリを開発する必要があるが、誰もがそうしたリソースを持っている訳ではない。

GMはこの問題を解決するため、自動車ソフトウエアの非互換性を解決することを目的とした団体COVESAにUltifiのAPI定義を提供し、誰でも使えるようにした。

Ultifiは、Androidと同様にLinuxをベースにしているが、Red Hatが提供する車載用Linuxを基盤にしている。Ultifiはミドルウエアで、AndroidやアップルのiOSと同じようにハードウエアの抽象化を行っている。従来は、パワートレイン制御やドライバーアシスト、ボディ制御などの機能は、センサー信号を直接読み取り、アクチュエーターにコマンドを送信していた。

しかし、このアプローチでは、ハードウエアを変更するとアプリケーションの主要部分も書き直す必要があったり、ソフトウエアをアップデートするとハードウエアを変更しなければならない可能性がある。これに対し、抽象化レイヤーは、センサーやアクチュエーター、コンピュートプラットフォームなど、ハードウエアと通信する。また、アプリケーションがさまざまな機能を実行するために通信するためのAPIも提供する。

これにより、アプリケーションはハードウエアの違いを認識する必要がなくなり、エンジニアは、ミドルウエアの関連部分を除いて、ソフトウエアを大幅に書き換えることなくハードウエアをアップグレードできる。

スマートフォンなどの家電製品では当たり前に行われてきたが、今後はクルマも常に最新のテクノロジーを実装することが可能になる。テスラが2012年のモデルSを皮切りに市場に投入してきたSDV(ソフトウエア定義車両)を実現するためには、これらのことが必要となる。
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編集=上田裕資

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