アジア

2023.10.02 10:30

台湾初の自前潜水艦「海鯤」、日米の仲間と海中から中国ににらみ

米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は今年1月、中国による台湾侵攻を想定した実戦さながらのシミュレーションを行った。結果は、中国軍の奇襲がどの程度成功するかや、中国軍による緒戦のミサイル集中攻撃に先立って、米軍が西太平洋でどのくらい入念に兵力を分散させているかに大きく左右された。

検討された24のシナリオの大半で、台湾と支援国側は、人員や装備に大きな損害を被るものの、最終的に勝利するという結果になった。そして、勝利した場合、潜水艦と爆撃機という2つの重要な兵器が大きな役割を果たしていた。

CSISのアナリストであるマーク・カンシアン、マシュー・カンシアン、エリック・ヘギンボサムの3人は報告書で「大半のシミュレーションにおいて、潜水艦は中国の防御ゾーンに侵入し、中国の艦隊に大きな損害を与えることができた」と結論づけている。

図上演習では、米艦隊の40〜50隻の攻撃型潜水艦は各4隻の小艦隊に編成され、グアム、ウェーク島、横須賀の米軍基地に配備された。中国側から最初のロケット弾が撃ち込まれ、中国の艦隊が出撃する時点で、狭い台湾海峡に1個小艦隊が展開している。

潜水艦4隻の小艦隊は魚雷やミサイルが尽きるか中国側にやられるまで、中国艦艇を次々に沈めていった。計10かそこらの小艦隊は海中で「ベルトコンベヤー」のように同期して行動した。

「これらの小艦隊は狩りをし、港に戻って再装填し、再び出撃して狩りをした」と報告書は説明している。「各潜水艦は3日半の間に(中国軍の)大型の揚陸艦2隻(と同数の護衛艦もしくはおとり)を撃沈した」

シミュレーションでは、米海軍の潜水艦は2週間にわたる集中的な戦闘で、中国海軍が保有する最大の揚陸艦や水上戦闘艦の多くを含む艦艇最大64隻を撃沈した。中国が数隻保有する空母の一部を沈める可能性もあったという。

いうまでもなく、中国艦は米潜水艦の攻撃を免れてもなお安全ではない。CSISの机上戦では、ステルス巡航ミサイルを発射する米空軍の爆撃機が、米海軍の潜水艦にも増して中国艦に大きな危険をもたらすこともわかった。

台湾と支援国側が最も決定的な勝利を収めたシナリオでは、中国の揚陸・輸送艦隊は艦艇の90%を失い、上陸させることのできた少数の大隊への補給も不可能になっていた。中国側は海上交通路を確保できていないため、上陸部隊はすぐに燃料や弾薬が底をついた。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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