欧州

2023.09.06 09:00

ウクライナ軍のバイラクタル無人機部隊が劇的復活 ロシアには不吉な兆候

遠藤宗生
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3日に公開された動画のうち、ロシア軍のKS-701哨戒艇に対する攻撃を映したものは、その様子がぞっとするほど克明に記録されており、とくに強い印象を与える。TB-2は、ロシア兵が岸辺で全長約9mのKS-701から物資を降ろしているところを、上空からじっと見つめている。

そしてKS-701にミサイルを撃ち込む。KS-701は破壊され、何人かの兵士が消し飛ばされる。ロシア兵たちはミサイルが命中するまで、監視されていることに気づいていなかったに違いない。

TB-2がどういう経緯で作戦上の自由を取り戻したかを理解するのは難しくない。ウクライナ軍は6月4日に反攻を開始して以降、大砲や爆弾、ロケット、FPVドローンで精密攻撃を実施し、ウクライナ南部のロシア軍の防空網を着実に弱めてきたのだ。ウクライナ軍は少なくとも13基の地対空ミサイル発射機を撃破したことが、独立した調査グループによって確認されている。

2022年2〜3月に、キーウ周辺のロシア軍大隊の上にTB-2が放たれたのと同様の力学が、現在のウクライナ南部にも働いているのかもしれない。TB-2は敵の防空網がとくに疲弊しているところで最も効果を発揮する。TB-2が再びロシア軍部隊に向けてミサイルを発射し出したことは、ウクライナ南部でのロシア軍の防空網が大きな問題を抱えていることを強く示唆する。

ロシア側にとって脅威になるのは、TB-2が防空網のすきを突いては無傷の防空箇所を攻撃目標にしていくというフィードバック・ループだ。こうやって、南部を覆う地対空ミサイルの傘が崩れていくと、TB-2はロシア軍占領下の地域をさらに自由に飛行し、ロシア軍の大隊や補給車列を意のままに攻撃できるようになるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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