宇宙

2023.08.15 15:00

今週いよいよ金星が見えなくなる 「満ちて欠ける」惑星とは

安井克至
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金星の地球から見た大きさと満ち欠け(NASA)

1月から毎晩西の空で輝いてきたあの明るい「宵の明星」もいよいよ見納めだ。金星はこれまでずっと日没後の夜空の主役だったが、8月中旬、ついに太陽の輝きの中に隠れて見えなくなる。

今年は2012年のように、金星が太陽面を通過して日食のような現象(掩蔽)を起こすことはなく、太陽の8度ほど南を通過し、この数週間、三日月のような形状を保ってきた。8月13日時点で地球から見た三日月型の金星は、わずか1%しか輝いておらず、事実上観測は不可能だ。

木星、土星、火星という肉眼で容易に見ることのできる3つの惑星でそんなことは起きないが、なぜ金星には、月のような満ち欠けがあるのだろうか。

太陽に近い惑星

満ち欠けが起きる理由は、金星が内惑星であるためだ。水星も同じく内惑星なになる。金星は太陽を約225日間かけて周回し、水星はわずか約88日間で周回する。どちらの惑星とも、日没後あるいは日の出前にのみ見ることが可能だが、それは地球から見て、常に比較的太陽の近くにあるからだ。

どちらも地球より速く太陽を周回しているため、地球を追い越しては太陽のまぶしさの中に消えていく。内惑星が地球と太陽の中間位置に来ることを「内合」と呼び、これを境に日没後に見えていたものが日の出前に見えるように変化する。

今週以降、金星の出現は「宵の明星(Evening Star)」から「明けの明星(Morning Star)」に変わる。その後、金星は太陽のまぶしさの中から再び抜け出し日の出前の東の空に現れるようになり、10月後半に太陽から最も遠い位置にくるまで続く。

その後、金星は徐々に太陽の輝きの中へ戻っていき、来年6月初めには太陽系の地球と反対側に位置するようになり「外合」を迎える。

8年周期

金星には8年の周期があり、その間に太陽を13回周回し「宵の明星」と「明けの明星」を5回行き来する。

すべては地球という宇宙を動くプラットフォームからの視点と視野の問題だ。つまるところ、金星がやっているのは太陽を公転することだけだ。地球から見て金星が太陽に近づくと、三日月型へと欠けていき、太陽と地球の中間に来る「内合」になると事実上見えなくなり、その後「外合」までの間に再び満ちていく。

同じことは水星でも起きるが、その時間はもっと短い。また地球から見て、より太陽に近いため、金星よりも観察はさらに難しい。それでも今週は、日没後の西の空で水星を見つけるチャンスだ。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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