キャリア

2023.07.29 18:30

好きなことをしたい。音楽の夢破れ「二番目に好きな世界」へ

鈴木 奈央
当時33歳でしたが、その時に本当に思ったのは、結局、公用語も含めて、すべての情報は英語ベースだということです。日本語で得られる情報の狭さと少なさを目の当たりにしましたし、英語圏以外の人でも英語が堪能で情報の消化スピードが自分より何倍も速い。この差は致命的だと痛感して、本気で英語を習得するようになりました。

中道:その後フォルクスワーゲンにいらっしゃるんですよね。

正本:そうです。自分はフォーミュラワンとかWRCラリーとか、そういった車が好きだったのでヨーロッパのブランドがいいなと思っていて。アメリカの会社はシェアホルダーバリューを重視するので、先ほどのフェスティバの話じゃないですけど、モデルチェンジで別物の車になってしまう。

ヨーロッパブランドでは、デザインフィロソフィーやDNAがしっかり受け継がれていくのでそういうことはありえません。特に英国での経験から、思想を重視して成長していくブランドで仕事をしたいと思っていました。そんな時にフォルクスワーゲンから声がかかったのです。

入社した年に、今でも鮮明に覚えている、モーターショーでの出来事があります。コンセプトカーとして展示している「ゴルフ5」をカップルが見に来ていて、男性が女性に向かって自慢気にこう言ったのです。「これが僕の次の車だ」と。これがブランドというものなのだなと衝撃を受けました。

中道:ラグジュアリやハイエンドのブランドになればなるほど、ブランドマネジメントが重要で、それがそのブランドを自分のものにしたい一番の理由になりますからね。

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