キャリア・教育

2023.07.27 16:30

ローカルから生まれ始めている 「新たな豊かさ」を定義してみよう

Forbes JAPAN編集部
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「豊かさ」は関係性のなかから生まれる

平林:インターネット業界にいたときから今日に至るまで、常に私の根底にあるのは「豊かさとは何か」という問いです。豊かさについて考えるとき、私は「選択できる」という感覚がとても大事だと感じます。例えば、与えられた環境でただやり過ごすのではなく、住む場所や稼ぎ方は自分で決める。どんな環境でも苦しいことは必ずありますが、自己決定感があれば乗り越えられるし、豊かさの土俵が変わってくると思います。

中島:私は、利他的なものが先行する状況は豊かなのではと想像します。その背景にはおそらく、誰かに助けられたという人や経験が必要であり、「誰かのために」「地域のため」にという思いや行動の連鎖が豊かさの総量を増やすことにつながるのではないでしょうか。

井上:豊かさというのは、関係性のなかにあるもののような気がします。それは人間関係にとどまりません。ふと見上げた空がすごく美しかったり、おいしい食べ物に恵まれたりするのも豊かさでしょう。つまり、豊かさとは人や自然とのかかわりから生まれてくるのです。

平林:精神的な豊かさですよね。物理的な面においては、豊かさの土台がある程度出来上がっている。だからこそ、これからは何を選択し、どう生きるのかが大切だと思います。


中島 真◎CAMPFIRE取締役執行役員CEO。愛媛県生まれ。早稲田大学を卒業後、PwCコンサルティング、アクセンチュア、ディー・エヌ・エー、リブセンス取締役を経て2018年3月にCAMPFIRE取締役に就任。big代表取締役、ギフティ社外取締役、STiLy社外取締役、Inspire High社外取締役なども務める。

井上貴至◎山形市副市長。大阪府生まれ。東京大学を卒業後、総務省に入省。内閣府地方分権改革推進室主査などを経て、2015年に地方創生人材支援制度で鹿児島県長島町の副町長に就任。「ぶり奨学金」をはじめ、さまざまな施策で話題を呼ぶ。愛媛県市町振興課長などを経て21年7月より現職。

平林和樹◎WHERE代表取締役。長野県生まれ。ヤフーに入社後、単身カナダへ1年間渡ったのち、中小企業のITコンサルティング、CRAZYを経て現職。地域コミュニティメディア「LOCALLETTER」や地域経済サミット「SHARE by WHERE」などを手がけている。内閣府地域活性化伝道師でもある。

文=瀬戸久美子 写真=小田駿一

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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