テクノロジー

2023.07.12 09:00

最先端メンテック7選 ここまできた男性特有の「不都合な悩み」の科学的解決法

大柏 真佑実

「メンテック」という言葉をご存知だろうか。ヘルスケアやジェンダーの領域に感度の高い方なら既知の言葉かも知れないが、「Men(男性)」と「Technology(技術)」を掛け合わせた造語で、男性の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービスを指す。近年、女性特有の悩みを解決するフェムテックが脚光を浴びているが、その男性版だ。

2021年にビル&メリンダ ゲイツ財団が男性用ピルの研究を行うダンディー大学に約170万ドルの研究資金を提供し、話題を呼んだほか、日経トレンディが発表した「2023年ヒット予測ランキング」にもメンテックが選ばれるなど、今後、拡大が予想されるホットな市場だ。男性特有の悩みを扱うデリケートなテーマが、なぜ今、注目を集めるのか。各社のサービスを見ていこう。

【不妊】国内初「プライベート精子バンク」登場

男性不妊に特化したベンチャー、ミツボシプロダクトプラニングが提供する国内初の民間プライベート精子バンク(※1)。精子バンクは海外から広まってきたもので、背景には不妊原因の約半数が男性だという現実がある(WHO調べ)。社会には「不妊は夫婦で取り組むもの」という意識は広がりつつあるが、検査や治療に消極的な男性も少なくない。

ミツボシプロダクトプランニングのファウンダー、向井 徹氏は、長きにわたり不妊治療をしてきた経験から見出した課題感をもとに、精巣冷却シートや高性能採精容器などを開発し、精子の受精能力改善に取り組んできた。しかし晩婚化が進み、男性不妊が増えるなか、男性には女性のように妊娠する力が高いうちに、将来に備えて精子を凍結・保存できる民間の仕組みが国内に見当たらなかった。そこで同社は2023年5月、プライベート精子バンクの設立を発表した。

サービス利用の主な流れはこうだ。利用者はまず自宅で検査用キットを使って精液を採取(採精)し、同社が提携する検査医療機関へ送付する。同機関で精子を検査後、結果に問題がなければ、利用者は自宅で専用キットを使って再び採精。今度はそれを同社開発の輸送コンテナに入れて精子バンクに送付し、精子を凍結する。いざ妊活を行う段階になったら利用者が精子バンクに連絡を取り、指定する不妊治療のクリニック・病院へと精子を配送してもらう。

※1 2023年5月同社調べ。不妊治療を目的とした提供精子ではなく、未婚者を含めた将来の為に精子の凍結保存を専門的に行う民間サービスとして
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【不妊】妊活を2人で 発毛剤メーカーが送るウェルネスブランド

発毛剤や薬用シャンプーのスカルプDで知られるアンファーが開発した、男性不妊の予防に着目したウェルネスブランド。ブランド名の「HOMTECH(オムテック)」は、「HOMME(男性)」と「TECHNOLOGY(テクノロジー)」をかけ合わせた造語で、精子力・勃起力・性欲の三大男性機能に働きかける健康食品だ。

ラインアップは、三大男性機能のベースケア用として妊活プロテイン「MEN’S WELLNESS PROTEIN」を始め、精子力を集中的にケアする本格妊活サプリメント「MEN'S SEED SUPPLEMENT」、同社が妊活の性欲・勃起力に特化したというドリンク剤「MEN'S STAND UP DRINK」の3種類。発毛剤メーカーである同社が、「妊活を女性だけのものにしない」を合言葉に開発。販売サイトでは、プレコンセプションケア(※2)や男性のブライダルチェックに関するコラム、簡単な質問に答えるだけで三大男性機能のレベルを自分でチェックできるコンテンツなどを提供している。

※2 将来の妊娠を考えながら、生活や健康に向き合うこと 

勃起力、精子力、精欲の男性機能レベルを3分でセルフチェックできるコンテンツ。専門医監修で、生活習慣や体に関する質問に答えるだけで結果がわかる

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Forbes JAPAN Web編集部

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