テクノロジー

2023.07.05 11:15

「自動運転トラック」の注目企業TuSimpleが米国事業売却を模索

安井克至
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商用化が進まない自動運転技術

自動運転トラック開発の進展や相次ぐ受注契約の獲得により、TuSimpleの成長スピードは業界リーダーのウェイモすら上回り、黎明期のロボットトラック市場において最も成長が早い企業と見なされるようになった。2年前のIPOから同社の株価は急騰し、問題が発生する前には一時62ドルをつけた。

しかし、昨年初めに同社の自動運転トラックが高速道路の中央分離帯に衝突する事故が発生し、その技術に監視の目が向けられた。昨年末には、大型トラックの大手メーカーであるナビスターが、AI対応ソフトウェアとセンサーを搭載したセミトラックの開発に向けた提携を解消した。現在、TuSimpleの株価は2ドル20セントほどで取引されている。

自動運転技術の商用化は、5年前に実現しそうに見えたが、擁護者の多くが予想した以上に困難であることが判明した。フォードとフォルクスワーゲンは昨年、数十億ドルを投じた合弁会社「アルゴAI(Argo AI)」を清算した。今年初めには、有望と思われたロボットトラックのスタートアップ「Embark」も事業を清算し、スタッフを解雇する計画を発表した。

TuSimpleのルーは、現時点で米国事業の売却は必須ではないが、買い手にとって有益だと述べている。

「前回の決算発表時点で、我々は約10億ドルの現金を保有しており、現金が不足しているわけではない。米国事業の売却は、長期的に株主価値の最大化を図る施策の1つだ。米国事業は、シミュレーションをはじめ、世界トップクラスの自動運転トラック技術を持っている。我々は、研究開発にこれまでに10億ドル以上を費やしてきた。相乗効果を発揮できる買い手の手に渡れば、技術開発により大きな効果が期待できるだろう」と、ルーは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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