経営・戦略

2023.07.13 08:00

起業家・小嶋陽菜に南壮一郎、辻庸介が伝授した事業成長の「意外なコツ」

眞鍋 武

「Forbes JAPAN RISING STAR」のイベントに登壇した小嶋陽菜 heart relation創業者/代表取締役CCO

AKB48在籍時からタレントやファッションモデルとして活躍してきた小嶋陽菜。グループを卒業した翌年の2018年6月にライフスタイルブランド「Her lip to」を立ち上げ、自身のブランドを手がける会社として20年1月に創業したheart relationで、CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)を務める。
 
小嶋を含む数人で始まった同社はいまや100人規模にまで拡大し、2022年2月には新経営体制として東証グロース市場上場のフリークアウト・ホールディングス元取締役、安倉知弘が代表取締役CEO、サイバーエージェント元執行役員の岡田寿代が執行役員CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)に就任。国内向けのECからスタートした事業は、リアル店舗の運営、中国向けEC事業の展開と、成長を見せている。
 
6月19日に東京・神田明神ホールで開催された、創業3年以内の起業家・経営陣の応援プロジェクト「Forbes JAPAN RISING STAR」のイベントでは、小嶋が抱える企業経営の悩みを、Visional代表取締役社長の南壮一郎、マネーフォワード代表取締役社長CEOの辻庸介へ相談するトークセッション(モデレータは谷本有香・Forbes JAPAN Web編集長)が実施。

ふたりの偉大な先輩起業家から小嶋に事業成長のためのヒントが伝授された。
 

谷本:heart relationの取り組んでいる事業について、教えていただけますか。
 
小嶋:heart relationでは、ライフスタイルブランド「Her lip to」を手がけています。いまはドレスなどを中心としたアパレルの「Her lip to」、コスメを展開しているビューティーブランド「Her lip to BEAUTY」、去年の秋からはランジェリーブランドの「ROSIER by Her lip to」を展開しています。
 
南:今回のセッションへ参加するにあたって会社の情報などを拝見したのですが、海外事業責任者としての経験がある東証上場企業の元取締役や元執行役員の方々がCEOやCDOを務めていたりと、小嶋さん自身のまわりに役割分担をちゃんと担えるような方々を採用されていると感じました。ダイバーシティあふれる多様な背景、そして色々な経験をしている方々を採用しているのはすごいなと。会社をバスに例えると、創業期にキーマンをどのぐらいバスに乗せられるかが大事だと思っています。その成功するための鉄則の一つをクリアしているので、素晴らしいと思いました。
 
辻:自分の創業3年目を振り返ると、まず売上が7600万円で、メンバーが47人でした。小嶋さんの会社はすでに社員が60人、スタッフの方々も含めると100人くらいの規模ということで、これから会社の規模が大きくなるにつれ、組織の問題が出てくると思います。それは起業した皆さんが経験する道のりなので、同じ失敗をしないように先輩経営者から教えてもらえるといいのかなと。僕らも先輩から教えていただいたので。
 
小嶋:先輩方の言われてきたこと、会社が30人規模だとこれが起こる、50人規模だとこれが起こるというのは、本当にその通りに起こるなとこれまで会社を経営してきて感じました。ここまでの規模になると想像していなかったので、毎日が学びと驚きの連続です。
 
私は元々、アイドルとして芸能活動をしてきたので、つくってもらったものを個人としてプレイする立場でした。例えば、ステージを設置してもらってプロの方たちがまわりで環境を整えてくれるので、自分はパフォーマンスに集中できる。一人ひとりと話したり業者の方々とコミュニケーションを取ったりしながらステージをつくるという経験がなかったので、人とコミュニケーションを取る難しさを痛感しました。そこを理解するまでに、3年かかりましたね。
 
プロダクトは、お洋服もそうですし、ビューティーもランジェリーも、自分の好きなもの、自分がほしいと思ったものをつくるというのをいちばん軸にしています。お買い物すること自体もファッションも大好きなので、こういうサービスいいなとかこういうホスピタリティいいなと感じたものを、お客様やファンの方に届けたいなという気持ちで、思いを込めてつくっています。

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文=加藤智朗 写真=小田駿一

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