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2023.06.23

アリババ新会長ジョセフ・ツァイの経歴と「暗号資産」への投資

ジョセフ・ツァイ(Photo by Edmond So/South China Morning Post via Getty Images)

アリババ・グループの共同創業者で、ブルックリン・ネッツのオーナーとしても知られるビリオネアのジョセフ・ツァイ(蔡崇信)が、中国のEコマースの巨人であるアリババの会長に就任する。

6月20日に発表された経営陣刷新の一環として、59歳のツァイはダニエル・チャンに代わって取締役会長に就任する。もう1人の共同創業者であるエディー・ウーは、9月に退任するチャンの後任としてCEOに就任する。

アリババの最近の発表によると、CEOを退任するチャンはクラウドコンピューティング事業の指揮に専念し、早ければ来年にも実現する予定の新規株式公開(IPO)に備えるという。共同創業者のジャック・マーは、2019年にアリババの経営から退き、それ以降は教育と慈善活動により多くの時間を割いている。

アナリストによると、マーの長年の腹心であるツァイは、最近の会合で説明した戦略を実行することで、ピンドォドォ(拼多多)のような企業に対抗しようとしている模様だ。上海を拠点とする86 Researchのアナリストによると、アリババは国内の景気回復が勢いを失うなか、ユーザーを惹きつけるために、より低価格の商品を販売することで利幅を犠牲にする可能性があるという。

台湾生まれでカナダのパスポートを持つツァイは、マネージメントにおいては比較的ハンズオフのアプローチをとることで知られている。「彼は、社内の幹部の意思を尊重してアリババの指揮をとるはずだ」とブルー・ロータス・キャピタルのショーン・ヤンは述べている。しかし、投資家は彼の会長への就任を歓迎せず、アリババのニューヨーク上場株は一晩で4.5%下落した。

アリババの苦境

現在の時価総額が2300億ドル(約33兆円)のアリババは、2020年後半にピークを迎えて以来、その価値の70%以上を失っている。背景には、中国政府によるインターネット業界全体に対する監視の強化があるが、同社は、これまでにない程の厳しい競争に直面している。急成長しているピンドォドォに加え、短編動画プラットフォームのドウイン(抖音)もストリームに登場する商品の販売を試みている。
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編集=上田裕資

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