食&酒

2023.07.15 13:00

谷昇シェフから父たちへ、子が外食したがらなくなるミートソースレシピ

石井節子

谷昇の一流ミートソース、秘密は「濾す」にあり(写真=原 務、記事内写真もすべて)

「完全紹介制」、神楽坂の高級フレンチ「ル・マンジュ・トゥー」シェフ、谷昇が、フランス料理一筋52年で培った「おいしい料理を作るために大切なこと」を1冊の本にした。『ル・マンジュ・トゥー谷昇シェフのビストロ流 完全レシピ 絶対おいしく作れる 永久保存の120品』(世界文化社刊)、「フライパンで焼いただけ、ソースもつけ合わせもない超シンプルな一皿から、時間をかけて作りたい郷土色豊かな煮込みまで」120レシピが詰まった至高の参考書だ。

本書を購入している層はなんと、3分の2が男性というデータ(全国紀伊國屋店舗の販売データを出版社に開示するサービス「紀伊國屋パブライン」のある期間の調査による)がある。

男性たちをとりこにする「一流レシピ」本の中身とはいったいどんなものなのか。以下、同書から、究極のミートソースの極意についての箇所を紹介しよう。


ミートソース

Sauce bolognaise

肉の旨みを存分に味わえる、しっとり芳醇なミートソース。味つけは塩と黒こしょうだけでシンプルですが、香味野菜やトマト、牛乳、赤ワインをたっぷり使って、コクを出します。肉の香りを引き出すには、しっかり炒めること。炒めたひき肉は必ずざるで漉して余分な脂をきり、徹底的に雑味を除くのが僕流こだわりです。牛乳や赤ワインなどを加えるたび、水分が飛ぶまで根気よく煮詰めて旨みを含めます。

【材料】(作りやすい分量)

牛ひき肉……700g
玉ねぎ……30g
にんじん……30g
セロリ……30g
にんにく……30g
牛乳……240ml
赤ワイン……500ml
ホールトマト缶詰(裏漉しする)……4缶(1.6kg)
*生のトマトを使う場合も同量
塩……約4g
黒こしょう……適量

直径26cm のフライパン
内径21cm×深さ9cm の鍋

1 玉ねぎ、にんじん、セロリ、にんにくはみじん切りにする。


2 フライパンにひき肉を入れ、中火にかける。大きめのスプーンの背などを使い、押しつけて肉のかたまりをつぶすようにしながらポロポロになるまで焼く。


3 途中で水分が出てくるが、完全にポロポロになるまで焼く。


4 12 分ほど焼いたら強火にし、水分を飛ばしながら焼く。焼けた肉の香りが立ってきて、ところどころに濃い焼き色がつくまで焼いたら、塩3gをふって混ぜる。


5 ざるに上げ、余分な脂をきる。時間をおきすぎると肉の旨みが出すぎてしまうので、1分ほど、自然に脂がきれるのを待つ。

6 5をフライパンに戻し、にんにくを加えて中火で炒める。香りが出てきたら、玉ねぎ、にんじん、セロリを加えて混ぜる。


7 牛乳を加えて強火にし、混ぜながら炒める。牛乳には酸味を和らげ、コクを出し、肉の臭みを取る役割がある。水分がなくなり、音がパチパチとしてくるまで炒める。よく炒めておかないと次に赤ワインを入れたときに分離するので注意。



8 赤ワインを加える。水分がなくなるまで煮詰める。アクは取らず、赤ワインの旨みを凝縮させる。

9 煮詰めたら鍋に移し、裏漉ししたホールトマト(p.238 参照)を加え、強火にかける。最初は混ぜず、沸騰したら強めの弱火にし、ときどき鍋底を混ぜながら50分〜1時間ほど煮る。


10 1時間ほどたったら、ここからは焦げつかないように注意。水分があるように見えるが、下のほうは肉がたまっている状態。鍋底を木べらでかくように鍋底全体を混ぜる。

11 鍋底を木べらでかいて、水分が出てこなくなったら完成。味をみて足りなければ塩適宜(1gほど)を加え、黒こしょうをたっぷりふり、混ぜる。肉を指で押しつぶしてみて、すっとつぶれるのが理想的な煮込みの状態。
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