ネット上での書籍販売から始まったアマゾン・ドットコムはいまや、クラウドサービスからスマートフォンまで提供する巨大帝国へと成長した。
そして、さまざまな分野で破壊的革命を起こしてきた同社はついにB2Bサービスへも進出。戦場は、卸売業界という市場へ移ろうとしている。


 (中略)小売業者はすぐには売れない商品の在庫を抱えることを嫌がるものだ。それに対してアマゾン・サプライは豊富な資金力を使って必ずしも飛ぶように売れない商品の在庫も引き受けることで、競合相手に対する優位性を獲得してきた。業界関係者は、同社が提供する商品の50%以上を常に在庫として確保していると見積もっている。物流コンサルタントのディック・フリードマンは、顧客である従来型の小売業者に対して、アマゾン・サプライ向けに商品を供給するように助言している。
「そのほうが賢明です。唯一問題があるとすれば、飛ぶように売れた場合、アマゾン・サプライがその商品の仕入れを増やして零細小売業者を締め出しかねない点です」
「流通業の難しいところは、利益を出すためには大量の注文を受ける必要があることだ」と話すのは、20年にわたり卸売・流通業界の生き残りをかけた戦いを間近で見てきたB2Bコンサルタントのスコット・ベンフィールドだ。その理由を「この業界では従来型の企業の利益率は2~4%と非常に薄いから」と指摘する。こういった薄利多売のビジネスで優位性を保つにはアマゾンは理想的といえるだろう。また、ボストン・コンサルティング・グループの調査によれば、同じ商品でもアマゾン・サプライの価格は他社より約25%も安く設定されている。

 (中略)アマゾンの前に立ちはだかる企業があるとすれば、それはイリノイ州シカゴに拠点を置く産業資材販売の最大手W.W.グレンジャーだろう。売上高94億ドルを誇り、B2B 市場の約6%を支配する同社は間違いなくアマゾンのライバルだ。1995年に始まったグレンジャーのオンライン事業は好調で、サイトは洗練されているうえ、使い勝手もよい。大半の商品が24 時間体制で配送に対応しており、顧客レビューやユーザーの過去の購入履歴や検索履歴に基づくおすすめ商品も表示される。

 維持・補修用資材の販売会社として1928年に創業したグレンジャーはいまでは各地に700を超える販売拠点を構え、33カ所に配送センターを配置する大企業に成長した。同社の売り上げのほとんどが依然として実際の店舗に頼っているが、13年にはオンラインの売り上げが30億ドルを超え、売り上げ全体の33%を占めるようになった。

 だが、アマゾン・サプライはこの業界に参戦してからほんの数年で、オンラインの品揃えではグレンジャーを追い抜いている(グレンジャー120万点に対しアマゾン・サプライは220万点)。そして、アマゾン・サプライはグレンジャーの薄利多売のビジネスにいっそう食い込む可能性が高い。たとえば、大量のビーカーやコピー用紙なら大量に売れるだろう。こうした商品がアマゾン・サプライに最も簡単に利益をもたらすのだ。(以下略、)

クレア・オコナー

 

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