欧州

2023.05.12 13:00

英、一部の処方薬を診断なしで薬局販売へ 医師の負担軽減で

木村拓哉
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プライマリ・ケア再生計画

新しい処方規則は、パンデミック後のプライマリ・ケア(総合診療)サービスの再生へ向けた広範な計画の一部だ。計画では、薬局が担うサービスを血圧測定などへも拡充するとしている。

GP(家庭医)の診療所にも追加資金を投じ、電話システムの最新化や受付の訓練を通じて、必要な場合に患者を他の医療機関に誘導できるようにする。

NHSイングランドの責任者であるアマンダ・プリッチャードは、「GPと診療チームはかつてない予約の増加に対応するため非常に懸命に働いているが、高齢化が進む中、地域医療の提供方法をいっそう拡大・変革して、未来に見合ったサービスにする必要がある」、「今回、それを実現するための野心的な対策を打ち出した。薬局が国民の健康管理の中心的役割を果たし、命を守ることにつながる検査や一般的な疾患に対する投薬を、史上初めて行えるようになる」と説明した。

計画は一定の評価を得ているが、医療業界からは、より良いサービスを提供するためには長期的な変化、すなわち、より多くの家庭医の育成に投資する必要があるとの声が上がっている。

王立家庭医学会(RCGP)会長のカミラ・ホーソーン教授は声明で、電話システムの改善を「(医療)アクセス向上のためのジグソーパズルの一部」と評価した上で、「GP医療へのアクセスを改善し、GPチームにのしかかっている過酷な仕事量と人手不足に対処する最善の方法は、結局のところ、効果的な人材採用と維持のスキームを通じて十分な訓練を受けた常勤相当のGPの数を増やすことだ」と指摘した。

ホーソーン会長はさらに「数千人」のGPを増やす必要があるとし、一般市民に「何が達成可能かをわかってもらう」ための対応を政治家に要請。「政治家は、より迅速な(医療)アクセスを約束すればサービスが向上し、票を獲得できると考えているが、多くの診療所はすでにGPや臨床スタッフの不足に苦慮している。複雑なニーズを持つ患者が多く、健康格差が不釣り合いに大きい地域では、特にそうだ」と述べている。

forbes.com 原文

編集=荻原藤緒

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