キャリア

2023.04.25 08:15

私たちは未来の「よりよき祖先」になれるのか 新起業家たちが起こす「希望の共振」

鶴田:成功に関していうと、私の場合は、5年前や10年前に思い描いていた成功と、いまの私が思う成功はまったく違うものです。いまの私は音楽家としてのライフワークやミッションがいちばん上にあり、その次にそれを実現させるためのマルチな活動があります。自分がやりたいことを通じて何かに貢献できれば幸せです。そして将来、この考え方も変わる可能性があると思います。
音楽家 鶴田さくら

音楽家 鶴田さくら


徳島:会社やスタートアップについては、成功の定義は比較的はっきりしています。でも、会社の成功イコール人としての成功ではないというのが僕の考え方です。人としての成功は、成長を重ねて、死ぬときに「いい人生だった」と言えるかどうか。仕事はそのためのプロセスであるべきだと私は思っています。だからこそ、私は「社会にインパクトを残せた」と仲間に思ってもらえる会社にしたいし、もちろん自分も「起業してよかった」と思いたい。その一心で、いまのスタートアップを経営しています。

松本:大切なのはスナップショット的にどこかを切り取るのではなく、物事を連続性で見ていくことですよね。いまはまだ「成功した」「失敗した」といった話をよく耳にしますが、これからは短期的な思考で物事を語ること自体が減っていくのではないかと思います。

『Forbes JAPAN』2023年6月号の特集「NEXT100 100通りの『世界を救う希望』」では、「新しく、多彩な、アントレプレナー・リーダーたち」にフォーカス。さまざまな領域で生まれている、これからの新・起業家、新リーダーたち100人を一挙掲載する。

地球規模の課題や地域課題に対して、「自分たちのあり方」で挑む、彼ら、彼女らを「NEXT100」と定義。その新しい起業家精神とスタイル、アプローチで社会的・経済的インパクトを起こす人々の希望と可能性を紹介する。本記事は、同特集内で掲載している記事だ。




徳島 泰◎大学入学後、ベンチャー企業に入社。25歳で独立しウェブシステムとハードウェア系企業を立ち上げた後、多摩美術大学を経て大手医療機器メーカーの工業デザイナーに。34歳で青年海外協力隊員としてフィリピンへ。帰国後、慶應義塾大学大学院に進学し2017年に修了。最優秀修士論文に送られる相磯賞受賞。18年にインスタリムを創業。

松本紹圭◎世界経済フォーラムYoung Global Leaders Alumni、CivilSocietyメンバー。武蔵野大学客員教授。東京大学哲学科卒、インド商科大学院MBA。『お坊さんが教えるこころが整う掃除の本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は世界17カ国語以上で翻訳出版。翻訳書に『グッド・アンセスター わたしたちは「よき祖先」になれるか』(あすなろ書房)。

鶴田さくら◎音楽家。7年にわたるアメリカ生活を終え、2017年に帰国。東京を拠点に作曲、ライブやDJ活動を展開しながら、国内外の大学や専門学校にて特別講師として登壇するなど、教育分野にも熱心に取り組んでいる。22年11月に1st ALBUM『C/O』がリリースされ、一層の飛躍が期待される。

文=瀬戸久美子 写真=ヤン・ブース スタイリング=堀口和貢 ヘア= コータロー(センス オブ ヒューモア)メイク=水野優子(Bubblue)

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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