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2023.03.27 13:00

ペットを飼う世帯数減少 コロナ後の飼育放棄が一因か

安井克至
2026
飼料会社グラブリーファームズのショーン・ワーナーCEOは「週単位や月単位で維持費が必要になる」ことがペット離れの一因だとみていた。

毎年、長期休暇明けには多くの動物がペットショップに戻され、不要になったペットが安楽死させられたり、捨てられた後に殺処分されたりしていると話す専門家もいた。

このようなペットを受け入れた後の飼い主の心変わりが、数字の鍵を握っているのかもしれない。新型コロナウイルスの流行は、ペットを飼う大きな動機となった。現在ペットを飼う世帯が減少しているのは、感染症の流行で触発された「仲間を求める気持ち」が薄れ、費用や手間がかかる現実に気づき、気が変わった飼い主のせいだと考えるのは悲しいことだが、説明としては成り立つだろう。私が話を聞いた限りでは、この「買い手の後悔」という要素に異議を唱える人や、これ以上に説得力のある説明をしてくれる人はいなかった。

犬はコロナウイルスに感染することはない。しかし、感染症の世界的な流行によって生み出された社会環境の中で、多くの犬が死んでいったのかもしれない。

ペットを飼う世帯の減少は今後も続くのか?

もし、ペット飼育世帯の減少の主な原因が「買い手の後悔」だとすれば、APPAが予測した2023年のペット支出の増加率が4.9%という数字は理にかなっていると言えるだろう。つまり、現在のペットを飼う世帯の減少は一過性のものに過ぎず、飼い主世帯の数とペットに対する支出の増加は今後も続くということだ。これは時が経てば明確になるだろう。

APPAのスコットCEOは、Z世代とミレニアル世代がX世代(訳注:1960~70年代生まれ)や団塊の世代に匹敵する数のペットを飼っており、こうした若い世代の数は時とともに全体の割合として拡大していくと考えている。オンラインよりも店舗を好み、モノよりも体験を好み、獣医での診療に代わるオンライン診療という選択肢があり、栄養補助食品の消費量が増えている若い世代の購買習慣は今後、ペット業界の成長や、昨年の飼い主世帯の減少傾向が弱まるにつれ、優勢になっていくだろう。

ペットを飼う世帯の減少は、この傾向が今後も続くのかという疑問を投げかけている。だが、ペットに対する支出額が増加し続けていることや、ペットを飼う世帯の減少の最も合理的な説明から、こうした世帯の減少は、感染症の流行がいかに人間の気まぐれに弱い動物たちに影響を与えたかを表しているものだと言えるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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