宇宙

2023.03.07 15:00

満月のクレーターを肉眼で見てみよう

安井克至
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半影月食と赤い月暈、2020年1月10日、バリ(Getty Images)

今週日が暮れた後に西の空を見ると、木星の上に明るい金星が見える。間違いなくすばらしい光景だが、今週は3月の満月「ワームムーン」に注目したい。冬の3番目で最後の満月は、今週いっぱい明るく輝き、週の前半はほぼ完全な満月だが、見るべきタイミングは、2023年3月7日火曜日に東の地平線に昇る月の出だ。

ちなみに米国では今週末、夏時間に切り替わり、2023年3月12日午前1時に時計が1時間進められる。

3月7日火曜日:満月の「ワームムーン」が昇る

今夜、北米と欧州では夕暮れの空に昇る満月の「ワームムーン」を見る絶好のチャンスだ。ニューヨークでは日の入りが東部標準時午後5時53分、月の出が東部標準時午後6時10分、ロンドンでは日の入りと月の出がともにグリニッジ標準時午後5時49分だ(訳注:東京では日の入りが日本標準時午後5時41分、月の出が日本標準時午後5時24分)。

3月10日金曜日:月とスピカ星

今夜の欠けていく凸月(半月より大きく満月より小さい月)はおとめ座で最も明るい地球から約250光年離れている恒星、スピカと約3.4度の位置にくる。寝る前に東の空を見てみよう。

今週の星座:おおいぬ座

おおいぬ座は今週、北半球からは南の空に、南半球からは北の空の低い位置に見える。見つけるのがやや難しい星座だが、そこには非常に(非常に)明るい星、シリウスがある。

夜空で一番明るい星、シリウスは1.4等級で輝き、これより明るい天体は月と木星と金星だけだ。距離はわずか4.6光年。おおいぬ座の他の星々はアダラ、アルドラ、HD 43197(Amadioha)、WASP-64(Atakoraka)、フルド、ミルザム、ムリフェイン、σ星(Unurgunite)、およびウェズンだが、シリアスや近くのオリオン座の星ほど明るいものは1つもない。

ギリシャ神話で、シリウスはオリオン神に関連があり、狩人の犬といわれていた。

明るすぎないので観測しやすい満月

多くの天文家が、満月は月を観測するためには最適なときではないというだろうが、満月を月の出あるいは月の入りに見ることができれば、それはすばらしい体験だ。月が空の低い位置にあるため、肉眼でも双眼鏡を使っても首の筋を違えることなく見ることができるだけでなく、この時の月は明るすぎないので観測しやすい。

今週の満月を月の出あるいは月の入りに見ると、薄いオレンジがかったイエローの円盤に、クレーターや古代に溶岩の海だったことを示す月の海(mare)の点を見ることができるだろう。こんな魅力的な天体が地球を回っているという幸運を得ながら、私たちはどれほど月のことを学んでいるだろうか。最高のアドバイスは、10x50の双眼鏡(三脚ネジ穴付)を手に入れること。それで一生観察を続けられる。

上記の日時は北半球中緯度に適用される。位置ごとの正確な情報については、StellariumやThe Sky Liveなどのオンラインプラネタリウムを参照してほしい。 住んでいる場所の、惑星の出/惑星の入り日の出/日の入り月の出/月の入りの時刻をチェックしておくことをお勧めする。(訳注:気象庁のサイトはこちら)。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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