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2023.02.27 11:30

原点は日本のあのアニメ フランス製ロボットは日本で役に立つか?

眞板響子

デモンストレーションの様子

「日本は高度にロボット化された国であり、日常生活でのロボットの使用における世界のフロントランナーだ」

──昨年3月に公開された国際ロボット連盟(IFR)の報告書の中で、同事務局長のスザンヌ・ビアラーはこう評価した。同連盟に所属する日本ロボット工業会による最新の統計データによれば、日本は2021年度に産業用ロボットの受注・生産・総出荷でそれぞれ過去最高額を更新。稼働台数ではアメリカにも勝っている。いま、世界中のロボット関連事業が日本市場へ関心を抱いているのだ。 

日本のロボット市場へ期待を向ける企業の一つであるフランスのスタートアップ「Enchanted Tools」が、2月13日、新たに開発したヒューマノイド・ロボット「Miroki(ミロキ)」を日本で初披露した。

同社の創業者であるジェローム・モンソーは、知る人ぞ知るヒューマノイド・ロボット開発のプロフェッショナル。2005年にブルーノ・メゾニエと共同でフランスのロボット開発会社Aldebaran Robotics(以下「アルデバラン」)を創業し、これまでに二足歩行ロボット「nao」や、ソフトバンクショップの店頭で見かける「Pepper」を世に送り出してきた。
Mirokiのプレゼンをするジェローム氏

Mirokiのプレゼンをするジェローム氏


2021年にEnchanted Toolsを設立して現職に就き、新たなヒューマノイド・ロボットの開発プロジェクトを立ち上げると、すぐさまフランスのロボット工学史上最高額のシード投資(1500万ユーロ=約20億円)獲得に成功。こうして「Miroki」が誕生した。

主に医療現場で食事や器具の運搬を担う「配達ロボ」として想定されている「Miroki」は、自ら腕を伸ばしてものを掴む高度なグリップ技術と、ボール状の足によって玉乗りのような状態で前後左右に自走できるスムーズな動作性が自慢だが、最大の特徴はその「見た目」だと言っていい。

身長は約1.23メートル、体重は約26キロ。小学校低学年児ほどの大きさで、ボディは全身黄色。頭部には前髪と2つの細長い耳を持ち、猫のような大きな瞳を絶えず動かしている。惑星「ミロコ星」から来た異星人、というストーリーまで背負った立派なキャラクターだ。
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文・編集 = 眞板響子

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