北米

2023.02.23 11:30

「キリスト再臨」に備え極秘ファンド設立? モルモン教会に制裁金6.7億円

遠藤宗生
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米ユタ州ソルトレークシティにあるモルモン教会の総本山、ソルトレークテンプル(Photo by George Frey/Getty Images)

米国のキリスト教系の新宗教、末日聖徒イエス・キリスト教会(通称モルモン教会)が巨額の保有資産について情報を開示していなかったとされる問題で、米証券取引委員会(SEC)は21日、教会側が計500万ドル(約6億7000万円)の制裁金を支払うことで和解したと発表した。

この問題は、モルモン教会員で教会の関連団体エンサインピーク・アドバイザーズの元幹部、デビッド・ニールセンが内部告発したことで明るみに出た。ニールセンによると教会側は寄付者を欺いて資金を集め、巨大なファンドを組成していたという。エンサインピークは教会傘下で投資の管理・運用を担っている非営利団体。

SECによると、エンサインピークは1997年から2019年にかけて教会の株式投資に関する情報を開示せず、同社ではなく複数のペーパーカンパニー名で書類を提出。これにより「教会のポートフォリオを見えにくくしていた」とされる。

SECは、教会側はこうした行為によって連邦法に違反したとして提訴。教会側は和解のため、モルモン教会が100万ドル、エンサインピークが400万ドルをそれぞれ支払うことに応じた。

ファンドの規模は2018年までに約320億ドル(約4兆3000億円)に膨らんでいたという。米紙ワシントン・ポストによると、ニールセンはこのお金について、エンサインピーク内ではイエス・キリストの再臨の際に使われると説明されていたと明かしている。

SECがモルモン教会の投資慣行をめぐり調査に入ったことは、先に報道で明らかになっていた。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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