経済・社会

2023.02.14 17:30

「受賞が転機に」女性の活躍を支援。LUF 吉本明加の新たな挑戦

Forbes JAPAN編集部
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LUF代表取締役社長 吉本明加

2016年にスタートしたForbes JAPAN WOMEN AWARDで、その第1回の受賞者となった吉本明加。当時、パルコグループのダイバーシティ推進委員として女性の活躍推進に取り組んでいた吉本は、自らも輝く女性として、ロールモデルがないなかで新たな道を切り拓いてきた。

吉本は、大学時代に出産を経験。それゆえに、新社会人となった瞬間から、育児と仕事の両立を求められた。しかし、当時は両立を支援する制度や周囲の理解もなく、就職して1年もたたないうちに退職し、育児に専念。あらためて自分のやりたい仕事は何なのかを考えたときに、就職活動で育児中の吉本を受け入れようと動いてくれた人事担当者が浮かび、自分も人事にかかわる仕事がしたいと、人事としてのキャリアをスタートした。

人事コンサルを経て転職したソフトバンクでは、3000人の採用プロジェクトに携わった。同社では主に採用を担当していたが、採用した人材が活躍することで売上が伸びたり、採用コストが削減できたりと、経営にインパクトをもたらせることを実感。そこから、多くの人が活躍できる環境や仕組みをつくる活躍支援の重要性にも目を向けるようになった。

その後、ベンチャーの立ち上げに参画。活躍支援を行うには人事全般への理解が必要だと考え、管理部門の責任者として労務や人事制度、福利厚生なども手がけた。

そして、女性が育児と仕事の両立を叶えられるよう、女性活躍推進に注力したいとパルコグループに入社。女性の活躍を中心とするダイバーシティ&インクルージョンに取り組むほか、テナントに向けて人材の採用や育成の支援を行うHR事業の立ち上げを責任者として行い、それらが評価されてWOMEN AWARDの受賞に至った。

採用後の活躍も支援したい

現在、吉本は今年7月創業のLUF(ラフ)の社長を務めている。LUFが目指すのも活躍支援だ。社会の流れもあって、健康経営なども含め、すべての個を輝かせるための支援へと思いは広がっている。

「私は、その人の強みがしっかりと活かされて世の中や組織に還元できている状態を活躍と定義しています。LUFでは、個人の採用支援を入り口に、転職後もその人がきちんと活躍できるよう伴走し、場合によっては転職先の企業に対して、個人が強みを活かせるような制度や風土醸成の提案などを行っていきます」。

社長としては、周囲に寄せられる期待以上の成果を残していきたいと意気込む。まだまだ世の中には女性の経営者が少ないが、その一人として成果を出すことで、あとに続く人がいるといいという思惑もある。

育児とともにキャリアをかたちづくってきた吉本を支えたのは、“ロールモデル”ではなく、“ロールサンプル”という考え方だ。「女性の活躍推進が難しい理由の一つに、社内にロールモデルがいないということがあります。また、素晴らしいと思う人がいても、その人のすべてを真似することはなかなかできません。だからこそ、ここは素敵だなと思う一部分があれば、社内外のたくさんの人からどんどん取り入れればいいと考えています。


よしもと・はるか◎早稲田大学在学時に出産。卒業後、ソフトバンクなどを経てパルコグループでダイバーシティ経営に従事。22年All Personal入社、執行役員就任、同年LUF新設、代表取締役社長就任。

文=三ツ井香菜

この記事は 「Forbes JAPAN No.101 2023年1月号(2022/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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