ヘルスケア

2023.04.11 09:00

コロナからの回復後「嗅覚が回復しない」原因、明らかに?

石井節子

Pheelings Media / Getty Images

新型コロナウイルスは嗅覚に影響を与え、場合によってはそれが正しく戻らないことがある。研究によって、この現象への説明が得られた。

新型コロナウイルス感染で、鼻の神経細胞に対する免疫システムの攻撃が起こり、持続する。そしてそれによって鼻の神経細胞の数が減少する、と、新しい研究では述べられている。つまり嗅覚の低下は、鼻神経細胞の減少によるものだというのだ。

「T細胞」の存在

「ウイルス感染の急性期に嗅覚が変化した人の多くは幸運にもその後1〜2週間以内に嗅覚を回復するが、中には回復しない人もいる」。ノースカロライナ州のデューク大学の神経生物学者ブラッドリー・ゴールドスタインは語っている。

「新型コロナウイルスに感染した後、なぜ数カ月から数年にわたって持続的な嗅覚喪失に陥る人がいるのか、についてはより深く調べ、理解する必要がある」

チームは、新型コロナウイルスに感染後、長期的に嗅覚を失った9人を含む24人から採取した鼻の組織サンプル(嗅覚上皮)を調査した。そしてその結果、鼻の中で炎症反応を引き起こしている「T細胞」が広範囲に存在していることが確認されたのである。

T細胞はどうやら善玉よりも悪玉の方が多く、嗅覚上皮の組織を傷つけているようだ。

「この発見は驚くべきものだ。」とゴールドスタインは言う。「T細胞は、鼻の中の一種の『自己免疫プロセス』のようなものだ」

嗅覚を失った研究参加者の嗅覚ニューロンの数は、失わなかった参加者のそれより少なかったのだ。

自己修復の可能性?

研究者達は、T細胞が攻撃された後でも、一部のニューロンは自己修復することができるかもしれないと報告している。

過度の疲労、息切れ、そして「ブレインフォッグ(脳内に霧がかかったようにぼおっとする状態」など、コロナウイルス感染後、長くわかって起きる他の症状の原因にも、同様の炎症性の生物学的メカニズムがある可能性がある。

研究チームは、損傷を受ける特定の組織部位と、どの種類の細胞が関与しているかをさらに詳しく調べる予定だ。

「患者さんの鼻の中の異常な免疫反応や修復過程を調節することで、少なくとも部分的に嗅覚を回復させることができるのではないかと期待している」とゴールドスタインは述べた。

この研究成果は、Science Translational Medicine誌 https://www.science.org/doi/10.1126/scitranslmed.add0484 に掲載された。


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編集=石井節子

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