中国シャオミ クアルコムの中国責任者を引き抜き

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中国の携帯電話メーカー・シャオミ(Xiaomi)は6月10日、半導体メーカー・クアルコムの中国事業責任者だったWang Xiang氏が同社に参画したことを発表した。Wang氏は、戦略的提携を統括する上級副社長に就任する。

シャオミCEOのレイ・ジュン(雷軍)は次のようなコメントを公表した。
「Wang Xiang氏は経験豊富なエグゼクティブで、通信業界に造詣が深い。彼はクアルコムとシャオミの戦略的提携を実現した立役者であり、両社の関係は時間の経過と共に深まっている。Wang氏はその際立ったリーダーシップと、20年にも及ぶ業界経験で培った知見や各社とのパイプによって、シャオミに更なる重要な戦略的パートナーシップをもたらしてくれると確信している」

Wang氏はクアルコムに13年間在籍。クアルコム本社の上級副社長とクアルコム Greater Chinaの社長を兼務し、中国全土のオペレーションを統括していた。クアルコムの前は、MotorolaやLucent/Agereに務めた経験を持つ。Wang氏はクアルコムの中国事業を軌道に乗せ、創業初期のシャオミをはじめ、携帯電話メーカーとの提携を実現させた。情報筋によると、クアルコムの経営陣らはWang氏の転身に期待を寄せているという。

Wang氏の移籍は、クアルコムにとっても良いニュースかもしれない。サンディエゴを拠点とする半導体メーカーのクアルコムは、中国において様々な問題に直面している。同社は中国当局より独禁法違反の疑いで調査を受けていたが、2月に10億ドルの罰金を支払うことで合意した。また、クアルコムは、台湾の同業社MediaTekとの競争激化に直面している。MediaTekは、中国の4G市場でのシェア獲得のため、モバイル端末用半導体チップを薄利で販売している。

クアルコムは、シャオミに半導体チップを供給すると同時に、シャオミの株式も保有している。シャオミのフラッグシップモデルである「Mi」は以前からクアルコムのSnapdragonプロセッサを搭載し、新モデルの「Mi Note Pro」にも最新型の「Snapdragon 810」が搭載されている。

シャオミは世界のスマートフォン市場において、早くも主要なプレーヤーになりつつある。シャオミが成長するにつれ、クアルコムはシャオミとの提携関係を維持し、MediaTekらを排除していく必要がある。妙な話だが、Wang氏の移籍を報じるシャオミのプレスリリースには「Wang氏の加入により、クアルコムとシャオミの関係は更に強化されるだろう」と記載されている。

シャオミは2010年に創業。最近11億ドルを調達したVCラウンドでの評価額は、450億ドル(約5.5兆円)だった。昨年は、主に中国国内で6,100万台のモバイル端末を販売し「中国のアップル」とも呼ばれている。
筆者は、Wang氏にインタビューを申込み、シャオミでの職責について聞く予定だ。インタビューが実現したら、記事をアップデートしたい。

文=アーロン・ティリー(Forbes)/翻訳編集=上田裕資

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