テクノロジー

2022.12.23 08:50

Web3/ブロックチェーンの現在と未来 日本のWeb3に必要なものとは

松浦 朋希
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──私たちはWeb3とどのように向き合えばいいのでしょうか。

今後、日本という文脈でWeb3を語る際には、みんなで“日本のWeb3の価値観”をつくっていかなければいけません。必ずしも欧米でいわれるWeb3が我々のWeb3である必要はないんです。中国とアメリカが掲げるWeb3は絶対に違うはずで、それぞれの考えを理解したうえで「日本としてのWeb3はこうあるべきだ」という話をする人が増えなくてはなりません。

例えば「Web3=分散型」とよくいわれますが、何も中央集権を全否定して100%分散化する必要なんてない。この業界にはそう主張するテクノロジー系のアナーキストもたくさんいますが、僕はむしろWeb3の技術が社会に広く適応された世界をつくりたいんです。いま、多くの人がプロトコル(手順)を気にせずにインターネットを使っているように、透明になったWeb3の技術が人間の利便性や可能性を高めている世界を実現できればと思っています。

──渡辺さんは、最終的にアスターネットワークをDAO(分散型自律組織)にすると公言していますね。つまり、DAOとして同システムの管理運用をコミュニティに開放し、Web3の世界観を体現するような未来像を描いている。

アスターネットワークは、パブリックブロックチェーンという性質上、いつでも誰でもアクセスできて、絶対に止まらないシステムであるということに本質的な価値があります。だから、DAOにすることが設計理念としても理にかなっている。

僕はDAOが株式会社というシステムを完全に置換するとはまったく思いませんが、新しい仕組みであることには間違いがないですし、そこに起業家としてチャンスを感じてもいます。なぜなら、アスターネットワークをDAOにすれば、これまで日本になかったシステムを、自分たちが手がけた事業として社会に実装していくことになる。株式会社というシステムを渋沢栄一が日本に輸入したように、僕がDAOという仕組みを日本にもってこれる可能性があるんですよ。

僕自身、起業家としてこんなにおもしろい時代はなかなかない、と感じています。一起業家 として、Web3の最前線に立って社会をよりいい方向に変えていきたいですね。


渡辺創太(わたなべ そうた)◎ステイクテクノロジーズ代表取締役。1995年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。インド、中国、米国などでインターンシップ活動を経験後、シリコンバレーのブロックチェーン企業での勤務を経て、2019年にステイクテクノロジーズを創業。22年1月にアスターブロックチェーンをローンチした。

Text by Fumihiko Ohashi

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