シャンパーニュ5選:ホリデーシーズン編

Champagne Billecart-Salmon Louis Salmon Blanc de Blancs 2008

2022年も終わりに近づき、新しい年の幕開けもすぐそこ。一年を締めくくり、決意を新たにして新年を迎えたいものだが、そんなときにふさわしいのがシャンパーニュ。この時期にお勧めのシャンパーニュを5つご紹介したい。

1818年に設立されたビルカール・サルモンは、現在7世代目が運営するシャンパーニュ・メゾンだ。今年、創業ファミリーのルイ・サーモンの名を冠したプレスティージュ・キュヴェの、偉大な収穫年・2008年がリリースされた。特級格付けの4つの村のシャルドネ100%から造られ、最良のワインだけを選抜して造られる。

口に含むと、14年の時を経ているとは思えない、活き活きとした、フレッシュで透明感のある果実とシャープな酸が印象に残るが、じっくり味わううちに、クリームパン、蜂蜜レモン、林檎のタルトやパンデピスなどの複雑かつ繊細なフレーバーが交じり合い、何とも言えない幸せな気分になる。奥深さを味わいながらも、キリリと身が引き締まる思いになるだろう。


Champagne Taittinger Les Folies de la Marquetterie

1734年設立のテタンジェは、きれいな果実とバランスの良さが特徴の、優等生的なメゾンだが、この「フォリ・ド・ラ・マルケットリー」はその中で異例の作品だ。

メゾンの歴史がスタートしたマルケットリー城の名を冠し、元々はこの城の周辺のブドウから造られていた。大手メゾンのシャンパーニュが広い地域からのたくさんのワインをブレンドして造られるのに対し、このシャンパーニュは由縁のある小さな場所から、その土地特有のワインを造ることを目的としていた。今では少し範囲を広げているが、独特のスタイルはそのまま。醸造方法も、テタンジェの大部分のワインがステンレス槽で造られているのに対し、このワインは古い樽で醸造することにより、ワインに深みや豊かさを加えている。

実は、このシャンパーニュは、日本での人気が断トツに高いのだとか。日本のシャンパーニュラバーの層の厚さと知識の深さが窺える。


Champagne Larmandier-Bernier Latitude & Longitude

シャルドネの銘醸地コート・デ・ブランの、卓越した家族経営の造り手。内緒にしておきたいような造り手だが、品質の素晴らしさから飲んだ人の心を捉え、世界中にコアなファンがいる。ピエール&ソフィー夫妻が家族代々の自社畑に改善し、品質を向上させてきた。20年以上ビオディナミ農法でブドウを栽培し、各ワインはそれぞれの土地の個性を表現する。現在は2人の息子も参画し、家族一丸となってシャンパーニュ造りに取り組んでいる。

「ラティチュード」と「ロンギチュード」は過去の収穫年のワイン(リザーヴワイン)をブレンドして造られるが、経度を意味するラティチュードは、拠点となるヴェルテュ村のシャルドネから造られ、ふくよかで、口に含むとまさに横に広がるワイン。緯度を意味するロンギチュードは、南北の複数の村のシャルドネから造られ、よりフォーカスした、直線的な味わい。両方とも100%シャルドネだが、比較することで、コート・デ・ブラン各村々の特徴が味わえるのも面白い。
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文・写真=島 悠里

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