キャリア・教育

2022.12.09 15:00

10代の提言「選択を尊重しあえる関係を」

Forbes JAPAN編集部
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サッカー選手、学生団体Cominia代表の渡邉すみれ

「靴下をあげなさい!」
 
渡邉すみれは高校の登校時、校門でよく先生に追いかけられた。駅から学校まで20分。歩いていると靴下が少し下がってしまう。毎朝が苦痛だった。「どうしてこんな校則があるんですか?」と尋ねたら、「社会にも学校にもルールはあるものだから」という答え。

「答えになってないぞって。一番問題だと思ったのは、おかしいと思っていても『推薦を取り消されるかも』と意見が言えない雰囲気。自分の考えや求めていることを主張することすら許されない。そこを変えたいと思ったのが最初でした」

2021年に話題になった「ブラック校則」問題。高校生だった渡邉は、先生たちと何十時間も校則について議論した。当事者としてSNSで外部にも発信し、さまざまなイベントやテレビにも出演した。「Twitter を通じて、1〜2年の間に何百人と話しました。発信して、いろいろな人とつながっていくうちに、新しい選択肢が広がっていったんです」。

渡邉は生徒会長にも立候補、見事当選して校則問題に取り組んだが、校則はなかなか変わらなかった。校則から自由になれる、学校の外の場を求め、学生団体Cominiaを立ち上げた。大好きな地元、鎌倉の古民家を拠点に、「学生と地域の人をつなぎ、発信する場」として活動。地域で活躍する人をゲストに呼び、イベントなどを行う。

小学5年生からプロになりたいとサッカーを続けてきた渡邉。女性がサッカー選手を続けるのは難しいと悩んだこともあったが、今年4月、大学入学とともに江の島FCに加入。『夢をあきらめない』を掲げるサッカークラブで、週4日ピッチを駆け回る。

渡邉は選択肢をもつことが大事だと訴える。「学校では靴も髪形も制服も決まっていて、自分で選べるものがあまりにも少ない。どんどん変わっていく社会とのギャップがあまりに大きすぎる。選択肢を広げて、お互いがそれぞれの選択を尊重し合える関係であること。それこそ社会に必要なことだと思います」。

渡邉すみれ◎2003年生まれ。明治大学1年生。高校生の時に生徒会長として校則問題に取り組み、鎌倉の古民家を拠点に活動する学生団体Cominiaを設立。22年に江の島FCに加入、なでしこリーグ参入を目指す。

文=成相通子 写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN No.099 2022年11月号(2022/9/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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