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2022.11.24 08:00

人員削減発表のアマゾン CEOがさらなる整理を警告

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アマゾンCEOのアンディ・ジャシー(Photo by Kevin Winter/Getty Images)

アマゾンは先週、ブログ投稿で人員削減を行うと発表した。

雇用の削減が行われたのは主にデバイス&サービス部門で、ホワイトカラーの労働者が影響を受ける。米紙ニューヨーク・タイムズによると、同社は約1万人の従業員の削減を計画している。

また、人事部がレイオフの対象になっていたのも今後の流れを示している。人事部の縮小は、将来のレイオフと採用の凍結を示す前触れだ。

同社のアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)はその翌日、全社向け覚書の中で従業員に対し「経営陣が調整を続ける中でさらなる職の削減があるだろう」と警告した。

ジャシーは2023年に解雇される人数については明確化しなかったものの、従業員に逐次情報を与えるため、リーダーは「詳細が確定し次第それぞれのチームに伝え」、影響を受ける人には報道機関が報じる前に親身に伝えると覚書の中で述べた。

不確かさの恐怖


ジェフ・ベゾスの跡を継いだジャシーは、長年続いた積極的な採用で増えた社員数を適切な水準に修正する嫌な作業を強いられている。

新型コロナウイルス感染症の広まりにより、Eコマース(電子商取引)とネットを介した商品購入が加速したものの、2022年になると経済は低迷し始めた。米経済を刺激し存続させるため市場に投入された数兆ドル(数百兆円)により過去40年で最高水準のインフレが生じ、金利の上昇により停滞や状況悪化が生じた。

アマゾンは、影響を受ける従業員には社内で他の仕事を見つける機会を与え、新しい仕事が社内で見つからない場合は退職金などの手当を支給する。

意図しない結果が生じる?


この覚書は、ホワイトカラーの従業員が置かれる状況を明確化することが目的だったが、意図しない結果をもたらすだろう。危機が迫り来る中、全力を尽くすことは難しい。

新たにツイッターのCEOに就任したイーロン・マスクは、自分についてネガティブなコメントをする従業員を即解雇したり、会社への筋金入りの忠誠心や会社の条件が飲めない場合は辞める姿勢を求めたりしている。従業員はこうした混沌とした手法に、退職を考えさせられている。

億万長者であれば心配する必要はないが、アマゾンやツイッターの従業員は高給取りとはいえ、経済状況を懸念している。

2022年にテックやスタートアップの分野で失職した労働者は13万人以上だ。採用の凍結や内定の取り消しは今や珍しいことではない。

解雇される可能性があると分かっていれば、精神・情緒面の健康や全体的な生産性が損なわれる。上司か人事部から会議に呼ばれ、解雇を告げられるのではと常に心配している状態では最善の仕事はできない。
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翻訳・編集=出田静

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