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2022.11.10 16:00

スマホアプリの幼児教育でインド社会の底上げを

Forbes JAPAN編集部
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左から、ヴィシャール・スニール、ナミヤ・マハジャン、シッダント・サクデーヴァ

アジア版「Forbes 30 Under 30 2022」に選出されたいずれも20代後半のマハジャン、スニール、サクデーヴァの3人は、非営利団体Rocket Learningを設立し、インドの低所得層の子どもたちの学習格差解消に取り組んでいる。幼児期の読み書き・計算力は脳を発達させ、就学後の学力に大きく影響を与えるという。だがインドでは70%以上の子どもが小学校入学までにまったく教育を受けることがなく、就学前教育を受けた子に比べ遅れをとる。

Rocket Learningは、無料のWhatsapp(ワッツアップ)ソフトを通じてどの教育レベルの親でも子どもと取り組める課題を配信。例えば、家で丸いものを3つ探す、「パ」の音から始まるものを5つ見つけるといった具合だ。課題完了後、アドバイスとレポートが送信される。親は家庭で気軽に学習機会を与えることができる。

同団体は「質の高い教育はすべての子どもの基本的な権利である」という信念を持ち、インド教育省や各州政府と連携。保護者コミュニティ支援やRocket Learningを使い始めるための窓口開設を進め、設立2年もたたずにインド全土で100万人以上のユーザーを獲得している。

コロナ禍の学校閉鎖中、その使いやすさからRocket Learningは家庭学習の定番に。今後の目標はインドの未就学児1億人全員にリーチすること、そして世界中の低所得層の子どもたちが利用できるプラットフォームをつくることだ。


ヴィシャール・スニール、ナミヤ・マハジャン、シッダント・サクデーヴァ◎コンサル、アグリテック企業等を経てRocket Learningを共同創業。インドで幼児教育とその支援コミュニティの創出に尽力。アジア版「Forbes 30 Under 30 2022」に選出。

文=フォーブス ジャパン編集部 写真=ガヤトリ・ガンジュ

この記事は 「Forbes JAPAN No.097 2022年9月号(2022/7/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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