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2022.10.29

石油大手BPが買収、埋立地メタンガス再生企業の魅力的なビジネス

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埋立地から発生するメタンガスを回収するビジネスは、米連邦政府から補助金が出ているおかげで、石油をくみ上げるよりもエネルギーの単位あたりで2倍も儲かる。おまけにゼロカーボンだ。

英石油大手BPは10月17日、アーキア・エナジー(Archaea Energy)を約41億ドル(現金33億ドルと、推定8億ドルの純負債)で買収することで合意したと発表した。アーキア・エナジーは、埋立地から出るメタンガスを回収・処理して、再生可能天然ガス(RNG)を生産する企業だ。

この取引における最大の勝者は、アーキア・エナジーの会長で41歳のダニエル・ライス四世だ。彼が兄弟とともに受け取る金額は7億ドルを上回るだろう。

ダニエル、デレク、トビーのライス兄弟(全員が50歳未満)が有名になったのは、一族が立ち上げた天然ガス企業ライス・エナジーを、フラッキング(水圧破砕法)によるシェールガス採掘企業の大手へと成長させたことによる。

同社は2017年、天然ガス大手EQTコーポレーションによって、82億ドルで買収された(その際、ライス兄弟は約6億ドルを手にした)。トビー・Z・ライスはその後、EQTコーポレーションの最高経営責任者(CEO)に就任。同社は現在、米国最大の天然ガス生産会社だ。

一方ダニエル・ライスは、SPAC(特別買収目的会社)ブームが訪れた当初の2018年に、ライス・アクイジションを立ち上げると、10億ドルの資金を投じて埋立地運営会社を買収し、そこから発生する天然メタンガスを回収・販売するシステムに投資した。ガスの生産・販売にかかわっているという点では、シェールガスのフラッキング事業と近いものがあるが、埋立地のメタンガス回収・販売には、大きなボーナスが1つ付いている。こちらは「グリーンビジネス」なのだ。

埋立地に集められたゴミは、腐敗するとメタンガスを発生する。そうしたガスは過去数十年にわたって、ただ大気中に漂っていた。メタンガスによる温室効果への影響はなんと、二酸化炭素の24倍だ。このガスを回収すれば、環境に計り知れないメリットがある。しかも、米連邦政府が拠出する補助金のおかげもあって、とてつもなく儲かるビジネスにもなった。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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