ビジネス

2022.10.25 14:15

ダイソンが美容に840億円投じて20種類のビューティー製品を計画

松村敦

Getty Images

ダイソンと言えば掃除機だが、同社は、世界各国に研究拠点を置き、6000人のエンジニアを擁して24時間体制で新しいアイデアと技術の開発を行う「グローバルなリサーチ、テクノロジー企業」と称している。たしかに、掃除機のほかにも画期的な空調家電や照明などを発売している。6年前に発売したヘアードライヤー「Dyson Supersonic Ionic」に代表されるヘアケア製品もそのひとつ。ダイソンは25日、その美容関連製品の研究開発を拡大するために5億ポンド(1ポンド168円換算、約840億円)を投資し、今後4年間で20種類の「ビューティー製品」を発売する計画を公表した。

ダイソンでは、10年前からヘアケアに関する研究を行ってきた。ドライヤーに続いて発売されたヘアアイロン「Dyson Corrale」、マルチスタイラー「Dyson Airwrap」は、みなその研究成果をもとに「過度な熱ダメージ」を防いで髪をいたわる技術が応用されている。

ダイソンのヘアケア製品は、「ヘアサイエンスとリサーチに基づき、オーナーを理解すること」を重視して開発されているという。そこで今回の大型投資で研究拠点を拡大し開発を加速するにあたり、同社は2021年の年末、日本を含む23の市場で2万3000人を対象に「ダイソン グローバルヘア調査2022」も実施した。ヘアスタイリングに対する不満を、エンジニアが深く理解できる機会になったそうだ。



同時にそこでは、髪の健康について誤解している人が多いこともわかった。10人に7人が「髪が傷んでいる」と答えたものの、髪に関する悩みの上位は「フケ」、「抜け毛」、「白髪」。しかし、これらは実際には髪のダメージではない。ダイソンのヘア・サイエンティスト、ロブ・スミス氏によれば、髪のダメージとは、キューティクルと凝るテックスが破壊されて髪が縮れたり、くすんだり、切れたりすることだという。反対に、実際にこうしたダメージがあるにも関わらず、自分の髪は健康だと答えた人が67パーセントもあった。

ダイソン製品の本当の価値を知ってもらうには、まずこのような髪への誤解を正し、人々に正しい知識を広めることが重要になるだろう。ダイソンのホームページでは、各製品のコンセプトや科学的な根拠が丁寧に説明されている。ダイソンファンは、そんなダイソンの論理的な姿勢に共感している。常に革命的な製品で驚かせてくれるダイソンが、ヘアケアに本腰を入れた。どんな理論を展開して、どんな変革を起こすのか、期待が高まる。

文 = 金井哲夫

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