経済・社会

2022.10.19 15:00

イラン女子選手、髪を覆わず試合出場で帰国後に拘束か

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韓国ソウルでのイランのエルナズ・レカビ選手(Shutterstock)

韓国で行われたスポーツクライミングのアジア選手権の試合に髪を覆わず出場した後、行方がわからなくなっているとして安否が懸念されていたイランのエルナズ・レカビ選手について、国営イラン通信(IRNA)が「10月19日早朝に帰国した」と報じたという。

これを伝えたCNNによると、現在のところ、レカビが帰国後に当局に拘束されたのか、今回の一件で何らかの影響を受けるのかなどについては、明らかになっていない。

イラン国内では髪を覆う「ヒジャブ」をかぶらず、「服装規定に違反」した22歳のマフサ・アミニが9月13日、首都テヘランで道徳警察に拘束され、その直後に死亡したことをきっかけに広がった反政府デモが激しさを増している。

こうしたなか、レカビがソウルで16日に行われた決勝戦にヒジャブを着用せず、黒のヘッドバンドだけで決勝戦に臨んだことについて、「イラン政府に対する抗議だ」との見方が広がっていた。

だが、レカビはその後、インスタグラムに謝罪文を投稿。ヒジャブを着用しなかったのは予定より早く呼び出されたためであり、「意図したことではなかった」と説明。心配をかけたことを詫びていた。

ただし、この謝罪がレカビ自身の意思によるものか、強要されたことによるものかは不明だ。英BBCは17日、「レカビ選手はソウルからテヘランに戻った後、行方が分からなくなっており、友人たちも連絡が取れない状態だ」と報じていた。

また、英国に拠点を置くニュースサイト「イラン・ワイヤ」は、複数の筋からの情報として、「レカビ選手は当局に拘束され、テヘラン市内にあるエヴィン刑務所で勾留されている可能性が高い」と伝えていた。この刑務所は、反体制派や米国人をはじめとする外国人が多く収容されていることで知られている。

イラン・ワイヤは、「レカビ選手は夫が国内におり、もともと試合が終わればチームとともに帰国するつもりだった。だが、イラン政府は彼女の帰国に合わせて空港周辺で反政府デモが行われるのを防ぐため、政府関係者にパスポートと携帯電話を没収させ、予定より早くテヘランに帰らせた」と報じていた。
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編集=木内涼子

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