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2022.10.12 08:30

5年かけた国際標準化 ヤマト運輸がクール宅急便を世界に届けた日

Forbes JAPAN編集部
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「国際標準化は、ひとつのインターフェイス機能。サプライチェーンの垂直のつなぎ役にもなるし、それに伴う各ステークホルダーも横軸でつながっています。これを日本でつくりたいという思いが強く、オールジャパンで連携してもらえました」

海外でのロビー活動はどうか。ヤマトの羽田クロノゲートの視察に来たフランス物流最大手クロノポスト(DPDグループ子会社)が小口保冷配送サービスにも関心をもっており、両者間でコーポレーション・アグリーメントを締結。ともにISO化に向けて動きだし、他国に影響力を発揮してくれたことは先に述べた通りだ。ただ、ヨーロッパの某国からフランスに対し、ヨーロッパ主導で進めるべきだとして、直接アプローチする事態もあったという。

「PASは公開されているので、それを使って『うちと一緒にISO化しよう』と声が掛かったそうです。結局、フランスは日本で市場を作り、インフラ化を達成しているヤマト・日本との共創を守ってくれました」

ヨーロッパは、東南アジアと同じく小口保冷配送市場がまだ確立されていない。そのような状況でも、市場開拓に備えて各国が綱引きをする。ルールメイキングの重要性がよくわかるエピソードである。

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文=村上 敬 写真=平岩 享

この記事は 「Forbes JAPAN No.096 2022年8月号(2022/6/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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