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2022.09.13 11:30

コインベース元社員の弟、「インサイダー取引容疑」を認める

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tocak / Shutterstock.com

史上初の暗号通貨のインサイダー取引事件の被告が9月12日、通信詐欺の共謀を認め、10~16カ月の実刑判決に直面することになった。この動きは、連邦政府が暗号通貨業界を規制する上での大きな先例を作ることになる。

ロイターやニュースメディアLaw360によると、コインベースの元プロダクトマネジャーのイシャン・ワヒ(Ishan Wahi)の弟ニヒル・ワヒ(Nikhil Wahi)が12日、ニューヨーク連邦裁判所で罪を認めた。

米証券取引委員会(SEC)は7月、ワヒ兄弟とその友人のサミール・ラマニ(Sameer Ramani)らがインサイダー取引で110万ドルの利益を得たとして提訴し、司法省は3人を通信詐欺の共謀および通信詐欺で起訴していた。

ニヒル・ワヒは12日の裁判で、兄のイシャン・ワヒから入手したコインベースの内部情報に基づいて取引を行ったことを認めた。Law360によると、判決は12月13日に下される予定という。

一方で元コインベース社員のイシャン・ワヒは、暗号通貨資産は証券ではないため、インサイダー取引には該当しないと主張する予定という。しかし、検事は12日に彼らの罪が通信詐欺の共謀であり、証券詐欺罪を適用していないと述べた。

「私は暗号通貨が証券だとは思っていなかったが、コインベースの内部情報を基にトレーディングを行うことが不正行為であることは知っていた」と、ニヒル・ワヒは法廷で述べた。

7月のSECによる提訴は、一部の暗号通貨が証券に該当するという当局の姿勢を明確にした。コインベースのブライアン・アームストロングCEOはブログの投稿で、SECの主張に反論し、司法省が証券詐欺罪を適用していないことを指摘しつつ、「当社のプラットフォームに掲載されている資産は証券ではない」と述べていた。

コインベースの株価は、暗号通貨市場全体の低迷の中で年初から67.2%下落している。ただし、9月に入りビットコインは11%上昇し同社の株価も約25%上昇している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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