経済・社会

2022.08.15 16:30

中国の大手国有4社、米上場廃止へ 監査強化かわす狙いか

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中国の大手国有企業少なくとも4社が、米国での株式上場を廃止する方針を明らかにした。米国で上場している中国企業をめぐっては米当局が会計監査を強化しているが、中国政府は受け入れない姿勢とみられる。

4社は中国アルミニウム、中国人寿保険、中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)、中国石油化工(シノペック)。12日、9月中に米上場を廃止する計画を相次いで発表した。いずれも香港や中国本土への上場は維持する。

売上高、利益、保有資産、時価総額に基づくフォーブスの大企業ランキングによると、ペトロチャイナは世界21位、シノペックは45位、中国人寿保険は71位、中国アルミは853位となっている。

サクソ・マーケッツのストラテジスト、レドモンド・ウォンは今回の動きについて、中国側は米当局が中国の企業や政府の機微情報に触れられるようにしたくないのだろうとブルームバーグに語っている。

中国の金融監督当局は、4社の上場廃止は「正常」なものであり、外国当局との協議も続けられているとコメントしている。

米国ではドナルド・トランプ前政権下の2020年12月に外国企業説明責任法が成立。米国で上場している外国企業に対して政府の関与がある場合はすべて開示することを義務づけ、とくに中国企業を標的に米国側が会計監査を検査できるようにもした。

今回上場廃止を表明した4社はいずれも、同法に違反したとして米証券取引委員会(SEC)が上場廃止を警告しているリストに入っていた。

米議会の超党派の諮問機関である米中経済・安全保障調査委員会(USCC)によると、2022年3月31日時点で中国企業261社が米国で上場しており、時価総額は合計で1兆3000億ドル(現在の為替レートで約173兆円)にのぼる。

米国で時価総額が最大の中国企業はアリババ集団で、同社などほかの中国企業も上場廃止に動くかが注目される。

米中関係は今月、ナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問をきっかけに緊張が高まった。

編集=江戸伸禎

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