サムスンがマレーシアにEV電池工場を建設、1800億円を投資

Photo by Jeremy Moeller/Getty Images

サムスン電子のバッテリー部門のサムスンSDIは7月21日、マレーシアで円筒形バッテリーの第2工場の建設に着手したと発表した。同社は、この工場の建設に1兆7000億ウォン(約1770億円)を投じ、世界の電気自動車(EV)用バッテリー市場でのポジションを拡大していく。

サムスンSDIは21日の声明で、クアラルンプールの南の都市スレンバンで2025年に完成予定の工場の建設に着工したと発表した。同社は、この工場で2024年から円筒形バッテリー「PRiMX 21700」の量産を開始する。

円筒形バッテリーの需要は、現時点では101億7000万セル程度だが、2027年には151億1000万セルに拡大すると予測されるとサムスンSDIは述べている。同社によると、このバッテリーはEVに限らず、エネルギー貯蔵システム向けの需要も見込めるという。

調査企業マーケット・リサーチ・フューチャーは、世界のEV業界が今年から年間平均成長率(CAGR)24.5%で成長し、2030年に9570億ドルに達すると予測している。

サムスンSDIのプレジデントでCEOのYoonho Choiは声明で、マレーシアが「世界のバッテリー産業の中心になる」と述べた。「マレーシアの州政府とパートナー企業からの支援により、我々はより早くこのビジョンを実現できる」と彼は付け加えた。

台北のシンクタンク台湾経済研究所のダーソン・チウは、マレーシアからの輸出は、4年前から続く米中の貿易摩擦などの政治的制約に縛られないのがメリットだと指摘した。マレーシアのCIMB銀行のエコノミストのSeng Wun Songは、「欧米諸国の政治家が中国叩きの手を緩めない中で、製造拠点を東南アジアで多角化する国が増えつつある」と述べた。

一方、マレーシア戦略国際問題研究所のカルビン・チェンは、マレーシアが外国のテック系投資家を惹きつけている理由の一つには、中国のようなパンデミック関連の制約がないことが挙げられると指摘した。マレーシアは、すでに世界の半導体の7%を生産しており、十分な工場インフラを持ち、英語に堪能な人材を他のアジアの先進国よりも低いコストで提供できると彼は述べた。

さらに、エコノミストのSongは、東南アジアはEVとそのパーツの成長市場の筆頭に挙げられると指摘した。「インドネシアのEバイクや、シンガポールのEVなどで、これらのバッテリーの需要が高まっている」と彼は述べた。

編集=上田裕資

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