ビジネス

2022.07.27

インクルーシブ・キャピタリズム、「新たな主役たち」誕生の意味とは

illustration by Yo Hosoyamada


高橋:起業するとき、投資家の方に「社会にとっていいことをしたいんです」と話したら、「もうかりたいという気持ちがいちばんでない人は起業してはいけない」って本気で説教されました。いまとなっては、その人の話を真に受けなくて本当によかった。自分の人生は自分のもの。価値観を大事にしながら突き進むのがいちばんいいと思います。

松田:私は元々あまり不安がなくて、うまくいく気しかしない。楽観的かつカジュアルに、こういう領域にどんどん入ったほうが面白いと思います。


松田崇弥◎ヘラルボニー代表取締役CEO。1991年生まれ。東北芸術工科大学企画構想学科卒業後、小山薫堂が率いる企画会社オレンジ・アンド・パートナーズにプランナーとして入社。2018年に、双子の兄である松田文登とともにヘラルボニーを設立。クリエイティブを統括しながら、福祉領域のアップデートに挑む。

米良:そうはいっても、「利益か、社会課題解決か」という二分された世界観は根強くあります。良い社会をつくって次世代にバトンをつなぐためにも、社会課題という大きくて難しいことに挑戦する人を応援する必要があると強く思います。

水野:次の時代を担う人たちには、「人生一度きりだから勇気をもってやろう。俺らもやっているし、みんなも仲間になろうぜ」と伝えたいですね。環境問題や貧困など、社会課題は至る所にあります。いろんな人がそれぞれの領域でチャレンジしていく、その「総量」がとても大事です。

星:ひとりが全部を解決できないからこそ「社会課題」なんですよね。今日は私以外全員起業家ですが、“起業家”ひとりだけではすべてを解決できないし、大きなインパクトは生まれない。多様な人たちが仲間に加わるからこそスケーラビリティが生まれると思います。

米良:社会課題の解決を目指す人たちがつながり合い、コミュニティを形成することも重要だと思います。組織のつくり方やインパクトの測り方、資金調達のコツなど、お互いに学べる部分はたくさんあります。

組織の枠組みを超えてナレッジが共有されることはエコシステムの形成に役立つし、長期目線で走り続けやすい環境づくりにもつながります。今回の座談会を通じて、こうしてコミュニティが生まれたことは、よりよい未来や社会をつくるための新たな一歩になると思います。
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文=瀬戸久美子 写真=小田駿一 スタイリング=堀口和貢 ヘアメイク=石川美幸 / 高松れい 制作 コーディネート=榛葉友輔(Empire Entertainment Japan) 美術=村山一也(目黒工芸) 照明=伊地知新 機材=アップルボックス

この記事は 「Forbes JAPAN No.097 2022年9月号(2022/7/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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