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2022.07.23 06:45

280万戸の大停電、電力ひっ迫と保護システムが原因 1987年、首都圏大停電の日|7月23日

松村敦

Getty Images

1987年7月23日の午後、猛暑での冷房使用による急激な電気需要の増加によって首都圏大停電が発生しました。

東京、千葉、埼玉、神奈川、静岡、山梨の6都県で電力供給が停止し、280万戸の世帯に被害が及んだのです。自然災害が原因ではない停電としては日本最大規模でした。

幸い都心では30分後、ほかの県では最大3時間余りで復旧しましたが、東北、上越、東海道新幹線や各在来線、都営地下鉄、各私鉄で運休、遅延が発生したほか、信号機の停止、エレベーターの閉じ込めが起こるなど甚大な被害を及ぼしました。

この大停電は当時普及してきたインバーターつきエアコンが仇となったといわれています。

この日の東京は朝から気温が高く、朝9時時点で32度越えの猛暑でした。そして日本中でエアコンがフル稼働した結果、電力の需要が想定外のレベルへと達し、電力系統の電圧が低下したのです。

インバーターは電圧が下がると機能を落とさないよう電流を増やす仕組みとなっています。インバーターが作動したことにより送電線を流れる電流が増え、電力系統が事故の発生と誤認識し、保護システムが働いた結果大停電が起こったといわれています。

今でこそクールビズや省エネなどの取り組みが世の中で当たり前になっていますが、バブル景気真っただ中の当時の日本人の節電意識は低く、電力会社の見立ても甘かったのです。

東電をはじめとした電力会社は、この大停電をきっかけに電圧制御の改善に取り組んだほか、蓄電施設の増設、揚水発電などを進めました。

連載:今日は何の日?

執筆協力=アステル

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