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2022.07.12 14:30

米政府、Novavax製ワクチン320万回分を確保 BA.5感染急拡大に対応

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Getty Images

米政府は7月11日、バイオテクノロジー企業ノババックス(Novavax)が開発した新型コロナウイルスワクチン320万回分(2回で接種完了)を確保したと発表した。

感染力が強まった変異株「オミクロン株」の派生型「BA.5」が国内で優勢となり、感染者が急増している状況に対応するため、ワクチンの供給量を引き上げるのが狙い。

ノババックスは現在、食品医薬品局(FDA)にこのワクチンの緊急使用許可の取得を申請中。ホワイトハウスの声明によると、承認され次第、厚生省が国防総省と協力して同社のワクチンを調達。各州で無償で提供する予定だ。接種1回あたりの費用については、公表されていない。

ノババックスのワクチンは、初めて「メッセンジャーRNA(mRNA)」構造を用いて製造されたファイザーやモデナ製とは異なる「組み換えタンパク」ワクチン。新型コロナウイルスのスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞に侵入するのに必要となる)を含んでいる。

組み換えタンパクワクチンの製造技術は、B型肝炎や帯状疱疹のワクチンにも用いられているもの。mRNA技術に懐疑的な人を含め、いまだ新型コロナウイルスのワクチン接種を完了していない米国の人口のおよそ3割にあたる人たちが、接種を受けるきっかけになることが期待されている。

FDAの諮問委員会は6月、18歳以上を対象とするノババックス製ワクチンの緊急使用認可(EUA)について審議。採決の結果、緊急使用の承認をFDAに勧告することとした。実際にワクチンの接種を開始するには、FDAの緊急使用許可に加え、疾病対策センター(CDC)の「使用を推奨する」との勧告が必要となる。

承認されれば、ノババックス製ワクチンはファイザー、モデルナ、ジョンソン・エンド・ジョンソンに続き、米国内で使用される4種類目の新型コロナウイルスワクチンとなる。ノババックスは数週間後までに、品質に関して「必要となるすべての検査」を完了する予定だという。

米政府は2020年12月、メリーランド州に拠点を置くノババックスにその他のどのワクチンメーカーよりも多い16億ドル(約2190億円)の助成金を交付。同社は臨床試験の結果は良好だとしてきたが、製造面でさまざまな問題に直面していた。

感染予防効果は83%


ノババックスは2月、ブースター(追加接種)用として使用した場合の6カ月後までの感染予防効果は82.7%だと報告した(調査はアルファ株が優勢だった時期に英国で実施)。その後に米国で行った臨床試験では、デルタ株への感染を防ぐ効果は82%、オミクロン株に対する予防効も確認されたと発表していた。

FDAは6月初め、ノババックス製ワクチンの接種による心筋炎・心膜炎の発症リスクに懸念を表明したものの、その数日後には、「接種によって得られる利益は、心筋炎のリスクを上回る」と結論づけたことを明らかにした。

「BA.5」で感染が急拡大


感染力が強く、免疫を回避するオミクロン株の派生型「BA.5」が主流となったことを受け、米国では現在、新たに確認される感染者数が過去5カ月で最も多くなっている。CDCによると、7月2日までの1週間に報告された感染者に占めるBA.5感染者の割合は、53.6%となっている。

編集=木内涼子

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