キャリア・教育

2022.06.27 08:00

米国のCEOは自社のCMOをどう評価しているのか


主な調査結果


1)多くのCMOは、CEOから総合評価で「B」とされている。自社のCMOを「A」と総合評価したCEOは、全体の16%。「B」が55%、「C」が23%、「D」が6%だった。

戦略、実行力、CEOとの信頼関係などの項目が評価された結果、平均の総合評価はBだったが、最も評価が低かった項目は、「会社の成長を促進している」と「イノベーション力がある」だった。

2)CMOに対する評価は、測定しやすい項目よりも測定しにくい項目のほうが低かった。

「CMOは、経営幹部と良好な関係を構築している」「CEOと信頼関係を築いている」といった測定しにくい面については、CEOの評価は比較的低い(AとB合計で61%)。それに比べて、メディア管理や予算などの測定しやすい業務については評価が高かった(AとB合計で76%)。

3)自社のCMOを「一流」と評価したCEOは、36%だけだった。

4)自社のCMOは「大胆な行動をする」と考えるCEOは27%だけだった。「慎重なタイプ」と考えるCEOは51%、「無難な行動をとる(イノベーションより、制御できることを重視する)」と考えるCEOは23%だった。

5)「自社のCMOは、CEOが困難な決断を下す際に貢献している」と回答したCEOは65%と、過半数を超えた。

6)「自社のCMOは、損益計算書とバランスシートの見方を理解していると思う」と回答したCEOは53%と、過半数をわずかに上回るにとどまった。

7)「自社のCMOは、取締役会や社内の力関係を理解していると思う」と回答したCEOは63%。

8)「CMOは取締役会に出席している」という回答は51%だけだった。

9)調査に回答したCEOのうち、半分を超える57%が、「CMOが自分の代わりとして責任をとることはないだろう」と回答した。逆にいうと、「CMOは自分の代わりとして責任をとってくれるだろう」と答えたCEOは43%だった。

調査リポートはこの数字を低いと言いたいようだが、筆者に言わせれば、43%は非常に高い割合だ。つまり、「自社のCEOは、自分の代わりに責任を取ってくれるだろう」と考えるCMOはどのくらいいるのだろうか。考えてみれば、一大事が発生したときには、誰もが自分の身を守ることで精一杯のはずだ。

10)最後に、「CMOは自分の味方だ」と回答したCEOは49%にとどまった。この問いについても、CMOの答えを知りたいものだ。「CEOは自分の味方だ」と考えているCMOはどのくらいいるのだろうか。

ボートハウスの調査は考えさせられるものだ。また、CMOとCEOの関係を異なる観点から考慮するよう、リーダーに迫るものでもある。とはいえ、ぜひとも知りたいのは、CMOの考えを尋ねた同様の調査結果、つまり、「自社のCEOについての考え」をCMOに尋ねる調査だ。

これは筆者の仮説だが、関係性に十分な信頼性があるかという問題、言い換えると、「代わりとして責任を取るか」という問題は、CMOに同じ質問を尋ねた場合にも同様な状況になるのではないだろうか。もしそうだとしたら、それは何を意味するのだろうか。

この問題は、CEOとCMOの関係性とは双方向のものであることを示唆していないだろうか。つまり、信頼を育み、実のある生きた関係を構築していくことには、双方が貢献しているのではないだろうか。そしてもしそうであるなら、CEOとCMOはそれぞれどうしたら、より建設的な関係を強化していけるのだろうか。

建設的な関係性を構築することは、CMO側だけの責任ではないはずなのだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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