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2022.06.10 09:00

最初は「煙草代用」が宣伝文句の大人向け高級菓子だった? ミルクキャラメルの日|6月10日

松崎 美和子

Juj Winn / Getty Images

1913年6月10日、森永製菓の「ミルクキャラメル」が誕生しました。大正時代になって乳製品の栄養価値が注目されたことをきっかけに、従来商品の乳製品配合を増やして商品名を「キャラメル」から「ミルクキャラメル」に変更。それを記念し、2000年にミルクキャラメルの日が制定されました。

森永製菓は1899年(明治32)年に森永西洋菓子製造所として創業。当時からキャラメルを製造してはいたものの、まだバターやミルクの風味になじみが薄かった日本人の嗜好にはなかなか合わず、溶けないようにワックスペーパーで1粒ずつ包みばら売りしていた当時の販売スタイルもなじまなかったといいます。

その後、味の改良やパッケージ容器の開発などを重ね、1914年に開催された大正博覧会で紙サック入り20粒を「土産用」として10銭で販売したところ、人気が爆発。これをきっかけに一般にも売り出され、いまの黄色い紙パッケージの森永ミルクキャラメルのイメージが定着しました。当時は生産が追いつかないほどで、なんとニセモノまで出回ったそうです。

この大ヒットをさらに盛り上げようと、森永製菓はあの手この手で広告戦略を実施。当時まだ珍しかった自動車でビラや小旗を撒きながら街を走ったり、汽車に乗った社員が他の乗客たちの前でミルクキャラメルを美味しそうに食べて見せたりしたこともあったといいます。

ポケット用ミルクキャラメル(10粒入り)の発売を機に、新聞広告もスタート。大人の嗜好品である高級菓子として売り出し、「煙草代用」の宣伝文句が使われました。

そんなミルクキャラメルですが、大正時代の終わり頃には製造機の改良によって大量生産が可能に。販路の大幅な拡大によって、大人の嗜好品から子供のおやつへと広告対象もイメージもシフトしていき、現在まで愛されるロングセラー商品となりました。

参考:https://www.morinaga.co.jp/caramel/history/topics/index.html

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執筆協力=アステル

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