トランプ支持の地域では「コロナによる死亡率が高い」、研究論文

Photo by Win McNamee/Getty Images

2020年の大統領選挙で共和党寄りだった地域に住む人々は、民主党寄りの地域に住む人々よりも新型コロナウイルスで死亡する確率が高かったことが、6月6日に医療ジャーナル「Health Affairs」に掲載された査読付き論文で発表された。

カリフォルニア大学アーバイン校の研究チームは、2021年10月までの新型コロナによる死者数と、地域の投票行動の関連を分析した。その結果、住民の70%以上が共和党に投票した郡の10万人当たりの死者数は、民主党寄りの郡(30%未満が共和党に投票)に比べて、約73人多かったという。

このデータは、人種や医療へのアクセス、年齢、慢性疾患などの死亡率に関連する他の要因も考慮に入れたものという。「死亡率の格差は、保守的な郡における政策や人々の行動の違いによるものと思われる」と研究者は述べている。

カリフォルニア大学アーバイン校のDylan Roby准教授は、人々がどの政党を支持するかが、マスクの着用義務やワクチンの接種などの予防措置の遵守状況に反映されたことを示唆した。

論文の主任執筆者のメリーランド大学のニール・セーガル教授は、死者数の格差が「ワクチンだけのアプローチ」の欠点を浮き彫りにしたと指摘した。セーガル教授によると、共和党の郡と民主党の郡の間の死亡率の格差の90%は、ワクチン以外の要因からもたらされたという。

新型コロナウイルスの発生のごく初期の段階から、共和党の支持者は一貫して、感染を防ぐための施策に反対する傾向が強く、ワクチンの接種率も低い傾向が示されていた。共和党の有力候補は、マスクやワクチンを拒否する一方で、実証されていない治療法を推奨し、早期に制限を解除しようとしていた。

トランプ前大統領はパンデミックの危険性を軽視し、漂白剤を飲むなどの誤った治療法を宣伝し、政治的動機に基づく誤った情報を流していた。その結果、コロナによる死者数は共和党寄りの州で多く、民主党寄りの州では少なかった。死亡率が最も高い10州のうち8州が共和党寄りの州だった。

編集=江戸伸禎

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