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2022.04.07 08:30

建物の値段は「頼み方で9割」決まる。建築アドバイザー直伝、施主の心得

石井節子

David Papazian / Getty Images

住宅や事務所、マンション、テナントといった建物は、もっとも大きな買い物ともいわれる。それだけにふつうは一生に何度も頼むことはないし、プロ相手に値切ったり交渉したりするのはよほどの建築オタクでもない限り難しい、と考えがちだ。

だがあきらめるべからず。実は、オーダーの仕方によっては、戸建て住宅は2480万円が1680万円に、マンションのリノベーション費は3278万円が1890万円にもなることがあるという。

建物の値段は頼み方で9割決まる - 劇的コストカットの「段取り力」と「魔法の言葉」』(ワニブックス)を上梓した建築アドバイザー掛川将氏は、「工事に関わるすべての人がフラットな関係」である発注体制を目指すコンストラクションマネージャーであり、「工事企画」代表取締役だ。

掛川氏に、新築工事やリノベーションの「施主」心得について以下、ご寄稿いただいた。


見積を取るにも「準備」が必須


さて、建築計画を始めるとなった場合、「工事の見積」を取る上で何を準備するだろう。あるいは、何を準備すればいいか知っているだろうか。

筆者が今まで携わった工事では、8割の施主が、見積を取るにあたっての準備が出来ていない。個人の素人ならまだしも、これまでにも幾つもの工事を依頼している、企業側の担当者であってもだ。

概算金額であっても精度の高い見積を出してもらうために、揃える必要がある図面がある。配置図、平面図、立面図、の3つだ。

とはいえ、これらの図面をどうやって揃えるのか? いったい誰に依頼すればよいのだろう?

──私が推奨するのは、「意匠設計(建築の外観や内部のデザイン)はかならず、施主と設計者と共同でまとめていく」ということだ。

配置図、平面図、立面図の依頼先は、設計事務所、あるいはボリュームチェック(その土地にどれくらいの建物を建てられるか)を専門とした会社であり、費用は無料、あるいは、3〜5万円が相場だ。

ただし、工事経験のある施主ならまだしも、初めて工事に携わる施主の場合、これらの図面をどう依頼したらいいかわからないはずだ。
そんな素人が注文する場合の、事前準備の方法がある。

施工会社が「やる気」になる依頼の方法がある


実は、依頼の方法によって、施工会社が「やる気」になるかどうかは大きく左右される。筆者の経験上、断言できるのは、関係者全員が「同じ方向を向いて協力し合う」環境を作ることができた場合に、もっともコストが下がる、ということだ。

そのために、まずは工事をやってくれる会社に対して、発注者として何が協力できるのか、何をしたら「施工会社にとってうれしい」のか、を知っておくことがとても重要なのだ。
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編集=石井節子

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