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2022.02.24

フィリピン不動産開発大手ダブルドラゴン、ホテル事業で日本進出を計画

(c)DoubleDragon Properties

フィリピンの不動産開発会社ダブルドラゴン・プロパティーズは、新型コロナウイルスのパンデミック収束後の観光需要の回復をにらみ、日本と東南アジア各国での事業拡大に力を入れる計画だ。

ダブルドラゴン(DD)は、シンガポール子会社のホテル101ワールドワイドを通じて、向こう数年以内に自社ブランド「ホテル101」のネットワークを拡大する方針。2022年第2四半期(4~6月)までに、最初の物件を取得することを目指している。

フィリピンの富豪トニー・タン・カクティオンとエドガー・シア2世が共同会長を務める同社の最高投資責任者は声明で、「観光業における繰延需要は数年内に、世界中のホテルにかつてないほどの需要の急増をもたらすことになると考えている」と述べている。

観光業はパンデミックで最も打撃を受けた業界のひとつだ。国連の世界観光機関によると、失われた国際観光収入は2020年だけでも、9000億ドル(約103兆円)以上にのぼったとみられる。感染拡大を抑えるため、各国が国境の閉鎖や都市封鎖を行ったことで、各地のホテルやリゾートは一時、利用客がいない状態となった。

だが、その後は各国でワクチン接種が進められ、渡航制限が徐々に解除されるのに伴い、ホテル需要にも明るい兆しが見え始めている。ホテル101がフィリピンの首都マニラで運営するホテルは、帰国したフィリピン人が待機期間を過ごす指定施設となっていることから、平均稼働率96%を達成しているという。

DDは現在、マニラを含めて国内5カ所(ボホール島、ボラカイ島、セブ島、パラワン島)でホテルを建設中。2024年の完成後には、年間180億ペソ(約400億円)以上の売上高を見込んでいるという。これら5軒が完成すれば、運営客室数は6000室以上となり、同社は国内最大規模のホテル運営会社の一つとなる。

同社はフォーブスの取材に対し、数年後までに「インドネシアのバリ島やタイのプーケット島、北海道、ベトナムのサイゴンといった人気の観光地で、プレゼンスを高めたい」と明かしている。中国、インド、欧州、米国、アラブ首長国連邦でも開業を計画しており、2030年には世界全体の運営客室数を、約5万室に引き上げたい考えだ。

DDの最高経営責任者でもある45歳のシア2世は、フォーブスが昨年9月に発表した「フィリピンの富豪50人」リストで28位にランクインしている。保有資産は推定6億7500万ドル。自ら立ち上げたバーベキュー・チキン・レストランを2012年、カクティオン率いるフィリピンの外食最大手ジョリビー・フーズに売却した。

その後、シアとカクティオンは共同でDDの事業を運営。同社は2014年に上場を果たした。物流施設のリース事業を手掛けるDD傘下のセントラルハブ・インダストリアル・センターズも、年内の上場を計画中とみられている。

編集=木内涼子

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