ビジネス

2022.01.14

偉大な先輩たちが語る、大きく成長する起業家の条件

マネーフォワード代表取締役社長CEO 辻 庸介

スタートアップを経営していれば、必ず壁にぶち当たるときがある。成長の近道はどこにあるのか。9人の先輩起業家たちが実体験をもとにヒントを示してくれた。


岡田光信 アストロスケール創業者兼CEO

撤退のジャッジメントをすること 

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会社を経営していると、やることが増えて、いろんな意思決定をしていくと思うんですね。けれども、「これは違う」と思ったら、やめることが大事です。会社が大きくなればなるほど、一つひとつの意思決定は重くなるもの。例えば、関連するパートナー企業があったり、サプライチェーンがあったり、すでにチームをつくってしまっていたり、プレスリリースを出してしまっていたり、引くに引けない気持ちになりますよね。でも、違うと思っているものを、「思い込み」や「やると宣言してしまったから」という理由で続けてしまうというのは、本当にリソースがもったいない。撤退のジャッジメントをするべき。それができるのはトップだけなんです。

辻 庸介 マネーフォワード代表取締役社長CEO

プロダクトのセンターピンにフォーカスしなければいけない

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プロダクトをつくるうえでは、誰に何を届けたいのかを、しっかり決めることが大事です。僕たちは最初に「マネーブック」というプロダクトをつくりましたが、当時は提供者側の目線で、メリットがたくさんあるサービスだから、きっと使ってくれるはずだという思い込みで進めてしまい、失敗に終わりました。そこで、「マネーフォーワード ME」では、僕ら自身をペルソナに設定したんです。そうすると、すべての意思決定は、自分たちが必要かどうかで決められる。「あったらいいな」という機能はすごく多いですが、それは実際には使ってもらえない。必ず必要な機能、プロダクトのセンターピンがはっきりすると意思決定が明確になります。

松本恭攝 ラクスル代表取締役社長CEO

採用に自分自身の時間を使うこと

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まず、ビジョンを掲げ続けることが最も大事で、その次に、顧客と向き合い、売り上げに執着することです。売り上げというのは、お客さんが価値を感じてくれているかを表す指標です。裏を返せば、売り上げのないスタートアップは、プロダクトに価値を感じてもらえていないわけですから、顧客と徹底的に向き合う必要があります。最後に、優秀な組織をつくること。自分よりも優秀な人をいかに採用してチームとして機能させるかです。そのためには、採用に自分自身の時間を割く必要があります。私自身、最初にチームをつくったタイミングでは時間の5割以上を採用に使っていました。
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文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.086 2021年10月号(2021/8/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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