オンデマンドの従業員管理ツールを提供するウベヤ(Ubeya)のオムリ・デカロ最高経営責任者(CEO)は「職場に新たな技術を導入することに関してよくある誤解は、雇用主と従業員の関係がより断片化し、個々人に合わせたものではなくなり、労働者が不満を抱くようになる可能性があるというものだ」と指摘する。
「だが実際にはその逆となった。新たな技術により、従業員の士気向上や満足度・生産性の向上などの素晴らしい結果が生まれた。だが、重要なのはどのように技術を使うかで、企業や従業員の特異な状況に最も合った技術を使うことにある」
しかしいずれの見方も、問題を単純化し過ぎる傾向がある。この点は、ジョージア工科大学とジョージア州立大学の米研究チームが最近発表した論文にも示されている。研究チームは、AIなどの技術の職場への導入が従業員の幸福度に与える影響について調べた。
研究チームによると、労働者を技術で置き換えることについては一般的に悪いイメージがある一方で、労働者を技術で補佐し、労働者のバリューチェーンでの位置をより自由で創造的な高スキルの仕事へと高めることは、おおむね良いことだと考えられている。しかし今回の研究からは、両者の違いがそれほど単純ではないことが示された。
研究チームは米国で行われている総合的社会調査(GSS)の2002年~18年のデータに基づき、402の職業を対象に、自動化が「仕事の安全性」、「認知負荷」、「意義」、「労働者の自由」、「外部監視」の5要素にもたらす影響を調査。目的は、ストレスや不安、仕事への満足度などと自動化のリスクとの間に相関関係があるかどうかを調べることだった。