ビジネス

2021.12.22 08:30

部下に退職届を突きつけられたら──意外な実態も。873人に聞いた

石井節子

Getty Images

グローバル人材の転職を支援する人材紹介会社のロバート・ウォルターズ・ジャパンは12月9日、首都圏、関西圏を中心に国内で働く会社員873人と国内172社が回答を寄せた「給与調査 2022」から、「カウンターオファー」(引き留め交渉)に関する調査結果を発表した。以下紹介する。


交渉を受け入れる可能性は半々。条件は「昇給」が圧倒的


会社員873人に「カウンターオファーを受けた場合の引き止め交渉に応じる可能性」を聞いたところ、「可能性なし」(47%)、「可能性あり」(53%)という結果だった。

カウンターオファーを受け入れない理由は、1位「辞めようと思った理由に対する解決策ではない」(43%)、 2位「一度決めたので心変わりはしない」(42%)を挙げた。残留目的の条件提示を受け入れないとしていることから収入面や働き方等が転職を考えた原因ではないことが推測でき、新しい環境で、新しい仕事にチャレンジしたいという気持ちが明確なことが窺える。

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逆にカウンターオファーを受け入れる可能性のある条件提示としては、1位が「昇給」(87%)と圧倒的で、次いで「働き方等の柔軟性向上」(43%)、「昇進」(41%)、「リテンション・ボーナス(残留特別手当)」32%)。 柔軟性のある働き方を望む声がカウンターオファーの条件提示の上位となってきている結果からか「フルリモートワーク」(23%)を条件提示として挙げる会社員も一定数いた。

47%がカウンターオファー受け入れ後1年で転職


9割の会社員は「カウンターオファー」を受け入れた経験はなく、「カウンターオファー」を受け入れた割合は12%だった。また、その内の約半数(47%)が1年で退職していることもわかった(半年以内:27%)。つまり、退職を考えた人材はあらゆる条件提示をしても、長期的にその会社にとどまることにはならないケースが多いということだ。カウンターオファーがそもそも退職を考えた理由を解決するものであるか、受け入れた場合、その後の社内での立場に影響がないかを考慮しなければならないが、条件提示によって退職理由問題を払拭はできていないことが推測される。

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6割の企業が引き留めをしない理由


国内にビジネス拠点を持つグローバル企業172社に「カウンターオファーをするか」を尋ねた質問では、6割が「カウンターオファーをしない」(59%)と回答した。

実施しない理由は、1位「チーム内で給与や役職の不平等が発生するリスクがある」(50%)、2位「会社やチームの文化に悪影響を与えるのではないかという懸念」(46%)だった。見通しの立ちづらさから採用を一時凍結した企業が多かった昨年だが、2021年は回復傾向にあったため、「社内の次世代人材に機会を提供する」(34%)や「新規採用が可能」(23%)との回答もあった。

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カウンターオファーを行う理由としては、「有能な人材の流出防止」(46%)、「退職者と同等の人材を獲得できない」(39%)が上位だった。

以上の結果から、「カウンターオファー」に対して会社員側も企業側も、それぞれの長期的な視点をもとに慎重になっていることがわかった。

調査期間:2021年10月~11月
対象:国内企業、外資系の日本法人 n=172社、当社に登録のある国内で働く会社員 n=873人


ロバート・ウォルターズ・ジャパン◎ロバート・ウォルターズは1985年に英国・ロンドンで設立された、世界31カ国/地域の主要都市に拠点を持つグローバル人材紹介会社。ロバート・ウォルターズ・ジャパンは同社の日本オフィスで、バイリンガル人材に特化する。

編集=長谷川寧々

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