米ビジネス社会で「金になる学位、ならない学位」

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大学での専攻は、生涯いくら稼ぐかに大きな影響を与える。これはジョージタウン大学の非営利団体、Education and the Workforceの調査結果である。それによると、石油工学や薬学の学位を持つ人々は、幼児教育やスタジオ芸術、社会福祉などの学位を持つ人々に比べて、一生のうちに平均340万ドル以上も多く稼ぐということになる。

調査員らはCensus Bureau’s American Community Surveyによる2009年から2013年までのデータを基に、137種の大学の専攻分野における、25歳から59歳までの大卒労働者の年収の中央値を求めた。

研究者のAnthony Carnevale氏によると、「大学の専攻は将来の賃金に大きく影響を与えるが、生涯賃金を固定するものではない」という。例えば、人文および教養学専攻者の上位25パーセントは、工学系専攻者の下位25パーセントよりも収入が多い。

教育学は比較的、報酬額の低い部類に入るが、その上位25パーセントの人々は年収59,000ドル以上になり、収入が多いとされる工学系専攻者の下位25パーセントは、年収59,000ドル以下となっている。

他にも興味をそそる調査結果がある。大学院の学位を持っていると、かなり報酬が上がる分野がある。化学や生物化学、地質学などの物理科学系では、学位取得後、平均32,000ドル以上も年収が上がる。また、人類学、政治学、言語学、犯罪学などの社会科学では、学位取得後27,000ドル以上、心理学や社会福祉学では16,000ドル以上、教育学では15,000ドル以上、という結果が出ている。

上位10位と下位10位のランキングのそれぞれを見ていただきたい。下位の専攻の4分野は、密接に関係のあるものだ。幼児教育は“教員教育:複数部門”と呼ばれており、初等教育と“家庭と消費者サービス”と呼ばれる分野を専攻した人々は、幼児教育や栄養学、インテリアやテキスタイルといった、まったく異なる職種に分かれる可能性がある。

しかしこの調査結果からわかることは、これらの教育に関連する学位は、あまり稼げないということだ。これとは対照的に、トップ10のうち1つを除いては、すべて工学系だ。

ランキングの詳細は下記の通り。年収額はいずれも25~59歳を対象としている。

◼︎年収の高い専攻10分野

1位:石油工学
平均年収:136,000ドル

2位:薬品科学および管理学
平均年収:136,000ドル

3位:金属工学
平均年収:98,000ドル

4位:鉱山および鉱物工学
平均年収:97,000ドル

5位:化学工学
平均年収:96,000ドル

6位:電気工学
平均年収:93,000ドル

7位:航空宇宙工学
平均年収:90,000ドル

8位:機械工学
平均年収:87,000ドル

9位:コンピューター工学
平均年収:87,000ドル

10位:地質および地球物理工学
平均年収:87,000ドル


◼︎年収の低い専攻10分野

1位:生活科学
平均年収:45,000ドル

2位:ドラマおよび演劇芸術学
平均年収:45,000ドル

3位:初等教育学
平均年収:43,000ドル

4位:神学および宗教学
平均年収:43,000ドル

5位:ビジュアルおよび舞台芸術学
平均年収:42,000ドル

6位:教育学
平均年収:42,000ドル

7位:ソーシャルワーク
平均年収:42,000ドル

8位:スタジオ芸術学
平均年収:42,000ドル

9位:社会福祉およびコミュニティ組織学
平均年収:41,000ドル

10位:幼児教育学
平均年収:39,000ドル

文=スーザン・アダムス(Forbes)/ 編集=上田裕資

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